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恋愛多色
屋上Times
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女は声を上げ、小刻みに震えた。
「だっ大丈夫?」
さすがに起き上り、彼女のに声をかける。
「ごっ…ごめんなさい…」
自分を抱くようんして震える彼女、俺は咄嗟に背中を擦る。
「ゆっくりでいい、落ち着いて」
一体どうしたのだろうか…もしかして言葉のチョイス間違えた?何かいけないこと言っただろうか…
徐々に震えも止まっていき、肩で大きく呼吸する彼女。
「すみません」
全力疾走の後のような声で、彼女は言った。
「謝んなくていいって」
俺は笑顔で答える。少しでも不安を取り除けるなら、それでいい。
「父の口癖で…」
さっきよりははっきりと、彼女は言った。
「あの言葉?」
俺は訊く。それに対し彼女は、ゆっくり頷いた。
「私が意見を言った後、その言葉の後に、これはどうなんだ、ここはどうなる、と続いて…」
めんどくせー、それが俺の素直な意見だった。あちらを立てればこちらが立たず、メリットデメリット。そんな当たり前なことを根掘り葉掘り訊いて、一体何になるっていうんだ。デメリットがあろうとも、自分が望んだメリット、つまり結果が得られればいいんじゃないのか?安全策しか通っちゃいけないのか?
「ごめん…」
俺は素直に謝る。
「いや…そんな…」
彼女は恐縮したように言う。
しばしの沈黙。
「あのさー」
とりあえず、とりあえずこれだけは、彼女に提案しておかなければいけない。
「俺で慣らしていったら?」
「え?」
彼女は不思議そうに言う。
「俺大体暇だし、こうやってサボってることも多いし、俺でよかったら手伝うよ」
世話焼き男、学年の中でそんな異名を持つ男。確かに、今もその世話焼き精神が出てるだけかもしれない。だがそれでいい、別に嫌々やってるわけではないから。
「いいんですか…?」
驚いたように言う彼女。俺は笑顔を作り
「もちろん!」
グッドサインを出していった。彼女はグッドサインを見て、次に俺の顔を見る。ようやく目が合った。
「お願いします!」
笑顔で言った。
何だ、可愛いじゃねーか。
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