1部分:第一章
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られないな。今日も稼ぎがいいから」
「その娘のところに行くのか?」
「いや、あの娘はもういい」
だがマムーはそれは否定した。
「別の娘を抱くさ、今日は」
「また中国の娘を見つけてか」
「中国の娘じゃなくてもいいな」
彼は考えてからこう述べた。
「一つの国の女だけを相手にするなんて下らないことだ」
「バグダートにいるからかい?」
「そうさ、折角色々な人間が集まってきているんだ」
彼は言う。
「いるだけの女を抱かなくちゃ意味がないだろう?」
「よく身体がもつな」
「その為に生きているからな」
「そういうことか」
「そういうことさ。まあこのまま稼ぎがよかったらな」
「ああ」
「今日もまただ」
「まあ楽しんできな」
スレイマーンはそう声を送った。
「身体を壊さない程度にな」
「それで死んでもそれはそれで本望さ」
ドーナツを食べて顔を崩して笑った。
「女で死ぬなんていいものじゃないか」
「そんなものかね」
「俺はそうさ。じゃあ行くか」
「ああ。親父、金はここに置いておくからな」
「毎度」
金を置いて店を出た。そして二人は市場で商いに戻るのであった。
バグダートの日差しは暑いが夜はそうではない。涼しげな風が一陣吹く。星月夜の中をマムーとスレイマーンが歩いていた。
「それでだ」
スレイマーンはその中でマムーに声をかけてきた。
「どの娘にするんだい?」
「まずは遊郭のところに行こう」
「ああ」
二人はまずはそうした酒場に入った。イスラムでも酒は何だかんだで飲まれていた。それは今でも時折見られる。過度の飲酒は駄目だが少しならアッラーも許してくれるという理由でである。
ワインを飲みながら女の子を物色する。マムーはその中で一人の少女を見た。黒い目で切れ長の目を持つ少女だ。肌を露わにした薄いアラビアの服を着ているがその雰囲気は完全に異国のものであった。
「彼女だったな」
「昨日の娘はな」
マムーは答えた。
「よかった」
「しかし今日は別の娘か」
「ああ、誰にするかな」
「あの娘はどうだい?」
スレイマーンは黒人で目の大きな娘を指差した。
「あの娘は一週間前に抱いた」
「そうか」
マムーの返事に頷く。
「黒人の女の子もいいものだ」
彼は女の子に関する薀蓄をはじめた。
「いいのか?」
「筋肉があってな。それがいいんだ」
「ふうん」
「特にあの娘はな」
その少女を見やって言う。
「じゃあ今夜はあの娘かい?」
「いや、今夜は止めておくよ」
「そうかい」
「今夜はもっと色気のある娘がいいな」
「あの娘はどうだい?」
スレイマーンはアラビア人の娘を指差して問うた。
「色気が凄いぜ」
「あの娘は一月前に抱いた」
「早いな」
「その前にも
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