主節・禍風と剛力
初節・迷宮の天井(あまい)に流星走る
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手足も、目を引く要素である。
次に……風かもしくは嵐、そして鳥をイメージしたのであろう刺青が、顔から腕から胸から腹から脚から、それこそ体中にびっしり入っていたのだ。
こんな奇抜の人物に少女は、ゲーム内外問わず未だかつて出会った事が無い。
そして次に服装。
頭にはバンダナをてきとうな感じに荒っぽく巻き、下半身こそ海賊の様なズボンと腰布を巻いているが、上半身は心臓部に胸当てが来る細めな一枚の布以外何も無い……即ち上記の様に記した理由は、彼が実質『半裸』だからなのだ。
ざっと簡素に挙げても、独特なしゃべり方 + 特徴的すぎる一人称 + 刺青だらけ + 奇声 + 半裸―――特徴があり過ぎるにもいい加減にしろと、そう言いたくなるぐらい濃い人物である。
疲れが溜まっていなければ、恐らく少女は悲鳴の一つでも上げただろう。
「グギュオオオオッ!」
「あーら、怒ったみたいだわな」
余りにも口調が軽すぎる。そう思い少女は更に呆けた。
間違っても命を掛けて刃を合わせるべき場に居るとは思えない……男の得物は刀でも剣でも無く “槍” だったが。
怒りから勇んで向い来るコボルドへ、男は落ち着きはらいリーチの長さが違う事と、明らかに槍を使いなれている動作で、斧が届く前にコボルドで一撃。
犬頭の獣人は本人が突撃してきた事もあり、相乗効果で威力が増強、見事後方へ一回転し床を舐めさせられる。
槍を引き戻したかと思うと既に男は走りだしており、コボルドが起き上がった瞬間ソードスキルが発動。
槍スキルのニ連刺突で鎧下から直接貫かれて、敵はまともに体勢を立て直す事が出来ない。
「グオオオッ!!」
(来た……三連撃……!)
コボルドは高々と肉厚の刃を振り上げ、少女も散々対応してきた、手斧による三連撃を繰り出して来た。
これを避け切れば大きく体勢を崩し、攻撃に対して何も出来ない恰好の的となる。
なのに、男は槍の柄尻を地面に軽く打ちつけ、ニヤリ笑ったまま避けようとしない。一体何をするつもりかと少女が身をを乗り出したのと、コボルドが斧を振り降ろすこと。
「ほれっと」
男が槍を回して斧の軌道を変え、自ら動くこと無く近くへ着弾させたのは同時だった。
そこで終わらず男は斧の上に脚を乗っけて、相手が振りあげるのに合わせて跳躍。
コボルドの頭を一度蹴って背後に降り立つと、がら空きとなった項へ突きこんだ。
対するコボルドも姿を捉えんと向きを変えるのだが、彼が背後に居る所為で振り向く方向を誘導させられ、結果振り上げに合わせて足払いをかまされる。
「ギュオッ!?」
「おっと、まだ終わりじゃーないのよ」
右方に陣取ったまま言葉通り、
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