空白期 中学編 23 「聖夜のひと時」
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しましょう。先ほどあなたの腹の虫も鳴っていましたし」
「う、うん……って、私のお腹別に鳴ってないんだけど!?」
さらりと嘘を付くのやめてくれないかな。ショウくんは男の子なんだよ。シュテルだって異性にそういう話されるの嫌だよね。自分がされて嫌なことは人にはしないでよ!
なんて言ったところで華麗にスルーされるのが分かっている私は、小さなため息をひとつ。それで気持ちを切り替え、シュテルのあとを追ってケーキとジュースが置かれているテーブルの前の座った。
「では……なのは、乾杯の音頭を」
「え、えぇ私が!?」
いやまあやれって言うならやるけどさ。でもやれって言うならさらりとじゃなくて分かりやすく振ってくれないかな。今みたいな振り方されるとテンパるから。
「えっと、じゃあ」
「頂きましょう」
綺麗に両手を合わせるシュテルに苛立ちもしたが、目の前に美味しそうなケーキがあるだけに早く食べたいという気持ちもあった。
生クリームの塗り方といい、フルーツの飾り方といい……何でこんなのが作れるんだろう。私もたまにお母さんから教わって作ってみることはあるけど、不恰好なのしか作れたことがないのに。
パティシエの娘がそれでいいのかと思ったりもするが、お母さんはお母さんであって私は私だ。作れないものは仕方がないし、今は早く目の前にあるケーキを食べないとケーキに悪いだろう。そう割り切った私はシュテルと同じように両手を合わせて食前の挨拶を行った。
「――っ!?」
こ、これは……一言で言って美味しい。
これまでに何度かショウくんの作ったお菓子を食べたことはある。そのときはやてちゃんがふざけて自分のお嫁さんになってほしいとか言っていたけど、年々腕を上げる彼を見ていると冗談で言いたくなる気持ちは分かる。
こんな美味しいお菓子を作ってくれる人が居てくれたなら、仕事で疲れきって帰ってきても幸せな気分になれる。そんなことで幸せになれるのかって思う人もいるかもしれないけど、女の子にとって甘いものはそれくらい価値のあるものなんだから。
でも食べすぎは注意なんだよね。いくらカロリーが低く作ってあっても、これだけ美味しいとついつい食べ過ぎちゃう。フェイトちゃんやレヴィみたいに体質的に太りにくい子はいいんだろうけど……フェイトちゃんはまだ食べる量が少ないから分かるけど、レヴィはおかしいよね。運動量はありそうだけど、それでも食べる量が量だし。
「ショウ」
「ん?」
「……はっきり言って、少し腕が落ちましたね」
……え?
今のは私の聞き間違いかな。ショウくんの腕が落ちたみたいな発言が聞こえたんだけど。これのどこからそういうこと分かるの。普通にお店で売ってても問題ないレベルだよ。
シュテルがお菓子作りを趣味にしてるっ
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