§65 縁
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
礼か。
「ッ!!」
鎌と鉄棒が打ち合う。十合、二十合。最初は互角。次第に黎斗が有利となる。普段のアテナとは違う。酒呑童子の時よりも、相手の消耗具合が凄まじい。このままではもうもたないのではないか。否。こういう”死にかけ”が一番恐ろしい。ならば、どうすればいい? 考えながらも身体は動く。蹴りを躱したアテナに蜻蛉切を叩き付ける。鎌で受けるアテナを、力任せに吹き飛ばす。雷の呪縛で相手の腕を拘束するも、即座に解かれ、一瞬しか時間を稼げない。海の上を転がるアテナに一足で追いつき、左腕で掴もうとして、失敗。石化の視線と邪眼が交差する。
「―――――勝てばいい、か。我がもとに来たれ、勝利の為に」
唱えるは白馬の聖句。太陽の欠片を天より落とす、超絶火力たる焔の一撃。
「相変わらず器用な真似を。暗黒よ! 妾が愛し、妾と共に在り続けた聖域よ。女王の滅びに立ち合う、忠義の衛士たれ。勅命である!」
闇のドームが、白馬のフレアを拒む。拮抗する光と闇。天と地の覇権をかけてせめぎあう両者を。
「来たれ、色無き輝く御柱」
まとめて黎斗の最大火力が薙ぎ払う。
「消し飛べぇえええ!!」
「――――」
白馬と暗黒を飲み込み、アテナすらも飲み込んで、破壊光線は荒れ狂う。水平線の彼方まで、海を割り、空間を歪め、熱波を周囲に撒き散らし、滅びを世界に体現する。抵抗など微塵も許さず、只々圧倒的な破壊力で。生存など出来るはずもない。
「相変わらず凄まじい威力だな黎斗よ!」
だが、必殺も、当たらなければ意味などない。
「マジか!?」
一瞬、動揺する黎斗。効かない相手が多すぎて慣れてきたともいう。
「はぁ!」
ダーインスレイブと大鎌が交差する。もつれ合い、飛んでいく武具。徒手空拳で殴り合いを始めながらも黎斗の口は言葉を紡ぐ。
「天空よ、我が名の下に裁きを与えよ。未来より迫る滅びを縛れ。左に剣を。右には鎖を。我が腕を贄とし汝を封ぜん!」
「くっ!」
逃げようとするアテナだが、破滅の呪鎖から逃れることは叶わない。捕まえている黎斗の腕ごと、鎖がアテナを拘束する。
「自らも捕えるか!」
「こーすんだよ!」
口に三日月宗近を咥え、自分の左肩から切り落とす。これで、拘束されているのはアテナだけ。
「痛っ……」
新たに再生した左腕で輝くは破壊光線の光。
「……どうやらここまでだな」
何処か清々しさを感じさせるため息と共にアテナが呟く。
「僕の勝ち、かな?」
「そうだな、妾の負けだ。止めを刺せ。いくら妾が弱っている状態であなたの前に現れたとはいえ、もしかしたら権能を簒奪できるかもしれぬぞ」
「別
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ