§65 縁
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たせる。これではいかんと欠伸をして雲を探せば、一つの雲が見えた。雲はどんどん近づいてくる。
「って近づく雲――!!?」
「全く、兄妹の逢瀬を邪魔するとは。器が知れますよ。それとも私に倒されたいので?」
教主の言葉は近づく雲に向けられていて。言葉が終わるころには、雲正体が黎斗の視力で判別できる程度の大きさになっていて。
「あ、アテナぁ!?」
雲は黎斗を見て、その瞳を見開き、絶望に暮れる。
「なんということだ……古の王よ。妾の決意は無駄に終わったか……」
なんだろう。
「貴方に逃げられたあの時といい、どうも妾と貴方の間には縁が無いようだな……」
アテナの気配が、表情が。酒呑童子の最期とダブって見えて。
「……翠蓮、降ろして。ドニ、いるんだろ?」
「あれ? バレた?」
「バレバレだよ」
嘘だ。ドニの気配は掴めなかった。自分の館の玄関に神がいるならすっ飛んで来るだろう、なんて思っただけ。でもここでネタバレは出来ない。アテナを失望させる真似は。
「ドニ、僕を銀の腕で斬って」
「マスター馬鹿ですか!!?」
「……あぁ、なるほど。その手があったか」
一瞬疑問符を浮かべたドニだが、すぐに黎斗の思惑を察する。
「本来だったら、僕が戦いたいんだけどね。僕も悪魔じゃない。ここで出ると教主サマと戦うことになりそうだし。それはそれで面白そうだけど時期じゃない。だから戦士として、君たちの決意を尊重しよう。----僕は僕に斬れぬものの存在を許さない」
一撃必殺の魔剣が黎斗の身体に吸い込まれ――――両断。血飛沫が飛び散り、黎斗の肉体が粉微塵と化す。
「マスター!?」
「お義兄様を信じなさい狐。それとサルバトーレ某、気安く私を呼ぶのではありません」
焦るエルと神妙な顔を崩さない教主。彼女たちの目の前で。
「なんとなくわかったよ。見送り人に僕を選んでくれて光栄だよアテナ。ならばこそ、決着をつけようか」
切り裂く銀の腕で「ナニカ」を切り裂かれた黎斗が復活する。
「細かいことを話しておらず心苦しいが事情を話す時間も惜しいのだ。貴方の察しが良いことを嬉しく思う。後で草薙護堂にでも聞いてくれ」
「あ、護堂は絡んでるのね……」
そこまでは予想できなかった。
「いざゆくぞ、最古の王―――――破魔の主よ!!」
「受けよう。死にゆく女神。死後の水先案内人を承る!!」
今にも尽きそうな寿命のアテナに対し、こちらは時間制限ありとは言え完全状態だ。最初の立場からして不公平ではあるが、この女神様はそれを承知で乗り込んできたのだ。ならば、そこを配慮するのは失
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