六話:ルドガーと骸殻
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流れ、背中からは黒いひだのようなものが二本生え不気味さを醸し出している。中でも特筆すべき点はかつての激戦により右肩から兜にかけてまでが傷ついてボロボロになっている点だろう。これがクルスニク一族に与えられた力、いや、かけられた呪い―――骸殻だ。
「なんだ…その姿は?」
「不気味なの……」
「骸殻か……」
骸殻が何かを知らないクロノとなのはは分からないまでもその圧倒的な存在感と威圧感に思わず身震いする。ルドガーは見慣れた姿に取り乱すことは無く小さく呟き、自身の真鍮の懐中時計をポケットの中で握りしめてヴィクトルがなのは達に危害を加えるしぐさを見せるようなら自分もすぐに骸殻に変身して止められるように構える。
骸殻には四つの段階があり大別すると『クォーター骸殻』『ハーフ骸殻』『スリークォーター骸殻』『フル骸殻』に分けられる。体を覆う装甲が増えれば力が上がる原理であり、フル骸殻が最も力が強い。ヴィクトルの今の姿は傷ついてパワーダウンをしてはいるものの最高のフル骸殻だ。
因みにだが正史世界には骸殻能力者は四十人程しか存在せず、その中でもハーフ骸殻に至った者はルドガーを含めて四人。スリークォーターが三人。そして、フル骸殻は二人で、クルスニク一族二千年の歴史で見ても記録に残っているのはミラ=クルスニク、ビズリー・カルシ・バクー、ルドガー・ウィル・クルスニクの僅か三人だけが到達した極地である。そのことからも如何にヴィクトルが優れているかが分かるだろう。
「ヴィ、ヴィクトルさん?」
「あんた……ヴィクトルなのかい?」
「ああ、私だ。……君達にはまだこの姿を見せていなかったな。すまないが、話は後だ。今は逃げるのが先だ」
自分を抱きかかえる存在が本当にヴィクトルなのかが分からなくなりおずおずと尋ねて来るフェイトと同じようにヴィクトルなのかと確認を取って来る。ヴィクトルはそんな二人に冷静に返事をしてここから逃げるように急かす。その言葉を聞いたクロノが茫然と見つめていた状態から復活して何としてでも三人を逃がすまいと、自身の最大威力誇る攻撃魔法を使う。
「少々痛いが悪く思うな、ブレイズキャノン!」
放たれたのは水色の光を放つ魔力弾。膨大な熱量を伴いながら直線状にある対象を破壊しつくす凶悪な魔法だった。それを見たアルフは急いでヴィクトルに避ける様に叫ぶがヴィクトルは避けるどころか一切の動揺も見せずに左手にフェイトを抱きかかえたまま右手に持つ槍をクルクルと回転させ、勢いよく槍ごと撃ちだす。
「バドブレイカー!」
瞬間、槍に追尾するように眩い光の波が生み出され、それを率いた槍が縦に高速で回転しながら前方の魔力弾とぶつかり合う。クロノの放った全力の魔力弾はぶつかるや否や霧となって胡散
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