第145話 電光石火
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本題を済ませるとするか」
正宗は孫権と甘寧を交互に見た。正宗の態度に二人はただ食事に誘われた訳でないと理解する。ただ二人ともあまり動じている様子はなかった。誘われた時に何かあるとは察していたのだろう。
「実はな。孫仲謀、しばらく私の元で客将として務めぬか? 無理強いする気はない。断ってくれても構わない」
正宗の申し出に孫権は驚いた表情になった。甘寧は正宗の真意を測りかねているのか訝しむような視線を正宗に送っていた。
「先輩、申し出は真にありがたいです。長沙郡の統治が大変なので客将の話はお受けできません」
孫権は即答した。
「そうか。では人材の件はなかったことになるな。お前を私の元で客将として招き、私の信頼を勝ち得る機会を設けようと思ったのだがな。余計な世話であった。客将の話は忘れてくれ」
正宗は薄い笑みを浮かべると孫権に言った。
「ちょっと待ってください!」
正宗の話が終わると同時に孫権は立ち上がると大声を出した。彼女以外の者達は孫権のいきなりの行動に驚いた。
「正宗様、客将になる期限をお聞かせ願えませんでしょうか?」
孫権は笑みを浮かべ正宗に言ったが目が笑っていなかった。正宗は孫権の豹変振りに覚めた視線を送った。だが孫権は正宗の態度に動ずることなく奇妙な笑顔で応じていた。
「期限? そんなものはない。私がお前を信頼するまでだ。信頼を得ることができるまでの期限などあるわけがないだろう。安心しろ。客将が嫌になったら好きな時に出て行ってくれて構わない」
正宗は飄々と悪意を感じさせない笑みを浮かべ孫権に答えた。しかし、孫権と甘寧は正宗から悪意を感じたのか一瞬覚めた視線を送ってきた。
「正宗様、二人も急な話で驚いているのだと思います。二人をどうして客将にしようと思われたのです?」
愛紗は正宗と孫権と甘寧の間に割って入るように話し始めた。
「孫仲謀が人材を紹介して欲しいと私に頼んできたので人となりを知りたいと思ってな」
正宗は愛紗に無難に答えを返した。
「人材紹介ですか。確かにおいそれとできませんね。ははは」
愛紗は苦笑いを正宗に返した。
「先輩、返事は今しなくてはいけないでしょうか?」
孫権は少し悩んだ表情を浮かべた後、徐ろに口を開いた。
「一週間後でどうだ。その後、私はしばらく南陽郡から離れる」
「南陽郡を去られるのでございますか?」
孫権は驚いた表情を浮かべた。
「正確には宛県を離れるといったところだ。南陽郡内を視察しようと思っていてな。視察が終われば上洛する」
正宗は途中を端折って本当のことは話さなかった。
「都に行かれるのですか!?」
孫権の両瞳は羨ましそうに輝いてい
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