第145話 電光石火
[8/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
と目で訴えかけてきた。正宗は泉に分からないように小さいため息をついた。
「出迎えご苦労。世話になるぞ」
正宗は気を取り直して店主に笑みを浮かべた。店主は正宗の態度に店を気に入ってもらえたと思い喜んだ表情になった。泉も同じ様子だった。
「ささ、清河王様とお連れ様、どうぞ店内へお入りくださいませ。他のお連れ様は既に中にてお待ちになっております」
正宗と泉は護衛を残し店内に入っていた。店内も店構えと同じく贅を凝らしていた。正宗は食傷気味な表情に変わるが店主や泉にわからないように直ぐに平静を装った。
「清河王様、ここが当店一番の貴賓室にございます」
店主は手を叩き艶やかなな朱色のチャイナドレスに身を包んだ給仕の女に両開きの扉を開かせた。店主は部屋に先に入ると正宗に奥に進むように促した。正宗は促されるまま部屋に入った。泉も彼の後を追う。
正宗が部屋の中を見渡すと彼の想像通り豪奢な調度品が上品に並べられた部屋だった。そして、部屋の中央に円卓の代が鎮座し、その周囲を囲むように彫刻が施された椅子が配置されていた。その椅子には先客である愛紗、孫権、甘寧がそわそわしながら座っていた。正宗に気づくと驚くように立ち上がった。彼女達はいつもの普段着だった。場違いな服装なので気後れしている様に見えた。
「正宗様、過分のお計らい恐縮いたします」
愛紗は立ち上がりそわそわしながら正宗に礼を述べた。それに続くように孫権と甘寧が立ち上がった。
「先輩、この度はこのような良い店に誘っていただきありがとうございます」
孫権は正宗に恐縮するように礼を述べ頭を下げた。甘寧も孫権に習い礼を述べ頭を下げる。店主は孫権と甘寧が正宗のことを「先輩」と呼んだことに首を傾げていた。
「こちらが誘ったのだ気にするな。店主、料理を頼む」
正宗は三人に笑顔で答えると店主の方を向いて言った。店主は恭しく頭を下げ部屋を後にした。正宗は扉の方を凝視した後、空いている上座の席に座った。泉は正宗の隣の席に座ると彼女に倣い三人も各々の席に座った。
「先輩、私と思春浮いていませんか?」
孫権は席に着くと躊躇いがちに聞いてきた。甘寧の表情も孫権のそれと同じだった。
「落ち着いてくつろげる店が良いと言ったがここまで高級店だったとはな」
正宗は孫権の言葉につい本音が漏れた。泉は正宗の言葉にショックを受けた表情に変わった。
「正宗様、お気に召してませんでしたでしょうか!?」
「泉、そうではない。想像していた店より豪華であったので少し驚いただけだ。お前の趣味は良いと思うぞ。王たる私に相応しい店だ」
正宗は笑顔で泉に答えた。泉は正宗の言葉に安堵の表情を浮かべた。
「料理が来るまで少し時間があるな。先に
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ