第145話 電光石火
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いを定め勢いよく放った。正宗の放った矢は異常な速度で真っ直ぐに飛んでいった。彼によって放たれた矢と長弓は彼の気で強化されていたのだ。正宗は矢を投射して少しして口角を上げ笑みを浮かべた。
「獲った! 蔡徳珪が清河王である余に放った賊はあそこだ! 兵達よ! 賊は己の放った毒矢で瀕死の状態のはずだ! 手負いで逃げ切れはせん。決して逃すでない! 朝廷に仇なす逆賊・蔡徳珪の罪の証拠である。必ず生きて拘束せよ!」
泉は矢を槍で寸でのところで叩き落とすことに成功していた。そして、正宗の指差す方向見る。半市里位(二百五十メートル位)先にある家屋の二階部分を指していた。泉は兵から馬を奪いとり騎乗すると護衛の兵達に声をかけ一目散に駆けていった。
正宗の電光石火の攻防に庶民は動揺していた。馬に跨る貴族と思われる男が弓で狙われた。その貴族が逆に弓を射て「賊を打ちとった」と叫び、「毒矢」や彼の命を狙ったのは「蔡徳珪」と叫んでいる。仕事に疲れ帰宅の途にあった庶民達は正宗の周囲に輪を作っていった。正宗がわざと聞こえるように叫んでいるのは用意に推測できたが、人は分かりやすい事実を信じるもの。
正宗は蔡徳珪の首に刃を添えた。こうして二人の争いの火蓋が開かれた。
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