第145話 電光石火
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には当店をご贔屓にしてくださいますようよろしくお願いいたします」
「そうだな。考えて置こう」
「店主、先に精算をしておきたい」
正宗と店主の会話が終わるのを見計らい泉が店主に声をかけた。
「畏まりました。ではこちらへ。清河王様はごゆるりと」
店主は正宗に深々とお辞儀をすると、泉に笑顔で応対し彼女と共に部屋を後にした。しばらくして精算を終えた泉が戻ってきた。正宗達が店の外に出ると少し日の光が橙色になっていた。彼らは店主と店員達に見送られて店を後にした。その後、正宗と泉は馬を護衛の兵に預け、歩きながら孫権と甘寧と少し話した。夕方になろうということもあり、人通りは減っていた。それでも大通りということもあり人の流れはあった。皆住宅街の方向に向かっているので家路につこうとしているのだろう。
一刻位(三十分位)歩いた後、曲がり角に差し掛かった。
「今日はわざわざ済まなかったな」
「いえ、本当にごちそうさまでした」
愛紗と孫権と甘寧は正宗に礼を述べた。
「私と泉はこのまま屋敷に帰ろうと思う。愛紗と孫仲謀達はどうするのだ?」
「私はこれから稽古しに戻ろうと思っています」
「久しぶりの休みですので少し街を回ってから宿に帰ろうと思います」
「そうか。じゃあ。また明日な」
「また明日」
正宗は三人と別れの挨拶を交わし、護衛の兵から馬の手綱を受け取り馬に乗ろうとした。その時、正宗は徐々に大きくなる空気を裂くような音を捉えた。正宗は咄嗟に手で迫る何かを掴みとった。正宗の手に握られたそれは矢だった。正宗の表情は憤怒の表情だった。
「長弓を持てっこい!」
正宗は馬に勢いよく跨るなり長弓を持つ兵に叫んだ。兵は正宗の突然の命令に駆け足で長弓を正宗に渡した。護衛の兵は正宗と泉を守るように展開した。孫権、甘寧は何が何だかわからない表情を浮かべていた。愛紗は只ならぬ空気を察して、正宗が睨む方向である泉の近くに移動して青龍偃月刀を持って構えた。泉は愛紗のことより襲撃者の攻撃に警戒している前方を鋭い目つきで睨んでいた。
正宗が颯爽と馬に跨る頃、二射目の矢が彼に迫っていた。しかし、その矢は正宗に到達することはなかった。泉が槍で叩き落としたのだった。
「正宗様、この場は私にお任せください。早くこの場を立ち去ってください」
「引かぬ! これぞ好機ぞ! 蔡徳珪、お前はもう終わりだ」
泉の言葉を無視して正宗は瞑目して敵の気配を読んだ。その時、三射目の矢が放たれた。その矢は先ほどまでの投射より更に威力と速度が増しているようだった。だが、それが敵の誤算だった。
「捉えたぞ! 泉、愛紗、先ほど放たれた矢を必ず叩き落とせ!」
正宗は活目して泉と愛紗に叫ぶなり手に握る矢を長弓にかけ狙
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