暁 〜小説投稿サイト〜
少年少女の戦極時代・アフター
After14 舞の帰還
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

 ロード・デュークにWライダーキックを入れた龍玄と月花の内、月花が戻ってきて斬月と交替する。

 龍玄がブドウ龍砲を、斬月が盾のガトリング砲を向けてロード・デュークを威嚇する間に、月花がバロンを縫い止める矢を次々と抜いていった。

『どうしてここが分かった』
『貴虎お兄さんがぐーぜん見つけて、車で追っかけてる途中で乗っけてもらったの! ってそれはいいから。あたしたちが来なかったらどうする気だったの。反省しなさい反省!』
『来なくてもどうにかなった』

 バロンは大真面目に答えた。どのような絶体絶命の危機であっても、彼には己でそれを覆せるだけの力があるという自信があった。
 この矢の檻とて、少々のダメージを無視すれば破れないことはなかった。

『もー!』
『咲ちゃん咲ちゃん。これが戒斗さんのデフォルトでしょ。いちいち怒ってたら保たないよ』

 比較的近くに下がって来た龍玄が言った。遠慮なく。

 そこで月花たちの中の誰でもない笑い声がした。

『いやあ。実に面白いね、キミたち。敵を目の前にその漫才みたいなやりとり!』

 月花が、バロンが自ら出られる程度に矢を抜いたので、バロンは前に出て龍玄と並んだ。

『お前……まさか、凌馬か』
『さあね。教えてあげないよ、()()には』
『お前が凌馬のはずがない。凌馬はあの戦いの中で死んだんだ!』

 斬月は目に見えて狼狽している。これ以上の両者の会話は避けるべきだ。

『答えろ。葛葉と舞を無力化したというのはどういう意味だ』
『『え!?』』

 龍玄と月花が声を揃えてバロンを向き、ロード・デュークに向き直った。

『さっきの矢で、ちょちょいとね。あの矢にはインベスの力を封じる効能があるんだ。我らが神と女神は言うなれば最強のインベス。覿面に効いたよ。別に殺したわけじゃないから安心するといい。ああ、それと、私を討ったところでこの矢の効能が消えるなんてご都合展開は起きないから』

 大弓のストリングが連続して引かれ、離された。その数の分だけソニックアローが飛んでくる。
 前衛にいた斬月は盾で防いだが、さすがに3人もの人間をカバーするには至らない。

 斬月が防ぎきれなかったソニックアローがバロンたちへ向かってくる。


 ――その時。まるで、そこだけ時間の流れを切り取ったかのように。
 ――一人の白い少女が、両者の間にふわりと入った。


『ヘキサ!?』

 現れた少女は、この中で最も弱く脆いはずの呉島碧沙だった。

 ヘキサは答えず、腕を上げて手の平をロード・デュークに向けた。
 ヘキサの手の平の先に不可視のバリアでもあるかのように、ソニックアローの群れは全て爆ぜた。

「去りなさい。彼らはあなたが傷つけて
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ