一節・少女と男
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、目線を戻した時の顔は真剣そのものだった。
「なーに悟った風に言ってんだわな。人間極論を突き詰めればそんなもんでしょうよ」
少女も予想できなかった思わぬ台詞が男の口から飛び出し、次の言葉が見つからず彼女はフードしたの瞼を二、三度パチクリさせる。
そんな様子が目に入っているのか居ないのか、男は煙を深く吐き出して、指で持ったパイプの先端を少女の方へと向けた。
「人間だけじゃあねえわな。他の動物も植物も、物だって生きてると解釈すりゃ、皆いずれは朽ちちまう。死んでいった二千人はそれが此処だった……そしてオレちゃんらは此処かもしれないし、もしかしたら此処じゃあ無いかもしれない、ただそれだけだわな」
男の話しぶりから意図が察せず、少女は自分の頭の中で、その当然とも言える文句を何度もこねくり回す。
待ってくれているのか、それともパイプを吹かしている為であろうか、男もまたそこで一旦黙り込んだ。
沈黙が走り、風にざわめく木の葉の音、小鳥の囀りを真似たBGMの様に響く微かな鳴き声、それ以外何も聞こえない。
男がパイプを咥えたままに再び話しだしたのは、ダンマリから数十秒後だった。
「お前さん、目の前に試練があったとして、それを叶わないから諦める質かい? それとも最後の最後まで足掻く達かい?」
「……試練によるわ。たった少しだけの可能性でもクリアー出来そうだと言うならば、ソレこそとことんまでやれる事をやるけれど……このSAOみたく理不尽な試練なら、クリアー不可能な試練なら……」
「諦める、か?」
声に出すまでも無いと少女は頷いた。しかしその後、不備を軽く横にに振るって男を睨めつけるように見やる。
「正確には新たな答えを見出した、かもしれない。せめてクリアー出来ないなら、走れる所まで走って、限界の限界で燃え尽きる……その為にレイピアを手にとって、迷宮区へ脚を踏み入れたんだから」
「まあ、つまりは諦めてるって事だわな」
オブラートにすら全く包まず、男は彼女の “新たな答え” を一刀両断した。
確かに彼女の説明は、傍から聞けば単なる自己満足に他ならないかもしれないが……もう少し言い方があるようにも思える。
だがしかし、少女もそれ自体は分かっているのか、首を動かさないが彼に対して反論もしない。
男は再び煙を吐きだす。
「二千人死んじまってるし、外部からも内部からも一ケ月音沙汰無し。こんな状況じゃあ絶望しても仕方無いとはオレちゃんも思う……けれども、自己満足で死んじゃあいけんわな」
「……明確な理由でも、あるの?」
「簡単だわな……死にたくないのに消えちまった奴だって山ほどいるってのに、そんなんで命使っちまったら、奴等に対する冒涜じゃ
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