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渦巻く滄海 紅き空 【上】
八十五 木ノ葉五人衆
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残りのメンバーからも賛同され、キバは戦闘態勢に入った。身体を捻る。

「【通牙】!!」
高速で回転し、勢いよく激突。その衝撃に、この土の壁もすぐ瓦解するだろうと誰もが思う。
しかしながら、キバの攻撃は通用しなかった。


「…なにっ!?」
「壁が…修復していく…!?」
穿たれた穴がみるみるうちに消えてゆく。【通牙】によって傷つけられた土壁の一部が、あっという間に直ってゆくのをナル達は目の当たりにした。


「やはり、ただの土の壁じゃないな」
そう確信したネジが【白眼】を発動する。直後、彼は突き付けられた事実に顔を顰めた。
「マズイぞ…。チャクラがどんどん吸い取られている」

チャクラ吸引術と併用しているのだろう。先ほどの術者が土壁内にいる者全てのチャクラを奪い取ろうとしているのだ。

「自滅させる気か…ッ」
「…結界の中に閉じ込めるだけで済むわけねぇと思っていたが、まさかチャクラまで吸われているとはな」

シカマルとキバの会話を聞いていたナルがぴたりと騒ぐのを止めた。此処から出せ、と今まで大声で喚いていたのが嘘のように静かになる。
ネジによってもたらされた事実に、自らの手を見下ろす。確かに、力が徐々に減ってゆくような奇妙な感覚を覚え、ナルはぐっと手を握り締めた。

諦め切れずにキバが更なる攻撃を繰り出す。今度は赤丸も交えての【牙通牙】だ。
だが、あちこちに穴が穿たれる度に、壁が自動的に修復してゆく。
「止めておけ。壁には敵のチャクラが大量に張り巡らされている。例え、少しぐらい傷つけても、すぐに元通りだ。この壁を一撃で突破する破壊力なら別だがな」
「じゃーどうすんだよ!?俺以上の破壊力を持つ奴なんて、此処にいねぇじゃねーか!!」
ネジに諌められたキバが肩で息をしながら、周りを見渡す。


リーダーであるシカマル・ナル・いの、そしてネジ。どう考えてもあまり攻撃力に長けているメンバーでは無い事に加え、力が吸い取られるこの状況下ではチャクラを練る事さえ難しい。
「このままじゃ、もう十分ももたねえ。チャクラ失くして全滅だぜ…っ」

心なしか仲間達は皆ぐったりと壁に寄り掛かっている。何時に無く大人しいナルを怪訝に思いつつ、キバもまた地面にどっかり腰を下ろした。
此処からの脱出を図りながらも、疲れ果てている仲間達を見て、シカマルは内心思考を巡らす。


(サスケを見逃すという本来の目的を考えれば、この状況はちょうどいいのかもしれねぇ………けど、)
こうもあっさり、たった一人の敵に足止めされるようでは、どうにも納得出来兼ねるものがある。
第一、チャクラ切れで動けぬ自分達を敵が生かして帰すだろうか。否、それは無い。
最悪の場合、全員が此処で殺される可能性もある。
それならば、やはりどうにかし
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