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【銀桜】7.陰陽師篇
第1話「雨ニモ負ケズ」
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いけない、と銀時は咄嗟に口を開ける。しかしフォローの言葉はすぐ出てこない。
 代わりに息詰まる沈黙を破ったのは、銀髪の女だった。
「そうか。なら今すぐ帰れ」
“バシッ”
 失礼極まりない発言をした妹をブッ叩いて、慌てて銀時は頭を下げる。
「いや〜すみませんね。コイツ新人でしかも口下手なんですよ。これはアレですよ、『今すぐスタジオに帰ってお天気予報をして』って意味なんです。そうだろテキサス!」
「そして地獄に堕ちろ」
“バシッ”
「ハハ〜。これは『台風のど真ん中に堕ちても吹き飛ばされず頑張ってお天気予報伝える結野アナを尊敬してます』って意味です」
「銀さん、間違いなく双葉さん『地獄』って言いましたよ。そもそも台風のど真ん中って風ないから吹き飛ばされないよね」
 今度は新八の鋭いツッコミを、銀時は目を泳がして無理矢理翻訳し始める。
「これはですね、『例え地獄に堕ちてもあなたの輝かしい笑顔を見れば明日も生きていける』って意味です」
「あ、駄目だこの人。もうどうにもなんないよ」
 かなり強引で苦しい言い訳をやめない銀時に新八は呆れた。
 対する銀時は、毒舌を吐き続ける双葉をキッと睨みつけ、ドスの利いた声を叩きつける。
「テキサスゥ!オメーの冗談は分かりにくいからやめろってあれ程言っただろーが!次かましたらピザ永久禁止だぞ!あんなネチョネチョ油の塊二度と注文すんな!!」
「ピザっておいしいですよね。私好きですよ」
 そうにっこり笑う結野アナに、銀時は振り向いて――
「ですよね〜!じゃあピザ注文しちゃいましょうか。マルハゲリータにしましょうか」
 先程と打って変わったハイテンションのバカ丸出しではしゃぐのだった。
 マルゲリータね、と新八はツッコもうとしたが言っても無駄そうなのでやめておいた。
 代わりに白けた目を向け、同じく神楽も酢昆布を口にしながら有頂天の銀時を見る。
「完全に舞い上がってるアル」
「ムリもないよ。いっつも天気予報かじりつくように見てたんだから」
 憧れの人を目の前にして浮かれる気持ちは、アイドルオタクである新八にもわからなくもない。
 だが場をわきまえないではしゃぎまくる姿は痛々しい。応援されてる本人にも周りの人にも迷惑だ。『寺門通親衛隊長』として、今度ファンマナーを叩きこんでやろうかと思った。
「あっちはあっちでテンション低いアルけどな」
「そうだね……」
 神楽と新八が振り向く先に居るのは、壁に背中を預けて立つ双葉。浮かれまくる銀時に呆れたのか、少し離れた場所に移ってずっと口を閉じている。
 無表情に沈黙、一見すれば普段と変わらない。だがその顔は丸っきりそっぽを向き、腕組みしている指先や足は小刻みに揺れている。
 双葉が万事屋に来て数ヵ月経って、新八と神楽は彼女がどんな性格か大体わかっ
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