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【銀桜】7.陰陽師篇
第1話「雨ニモ負ケズ」
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溜まってく毎日にゃ、さすがの俺だって嫌気がさしてくるぜ。……だが結野アナの笑顔を見ると、不思議と疲れも不満も吹っ飛んでく。憂鬱な心を癒して俺を励ましてくれて、まさしく天使のようだぜ。もしかしたら本当に天使かもしれねェ!」
 人知れず秘めた想いを銀時は熱く語り、
「誇大妄想も大概にしろ」
 あっさり片付けられた。
「るっせーな!いいからリモコン返せ!!」
 銀時はリモコンを取り上げようとするが、素早く双葉はリモコンを遠ざける。
 負けずと銀時も遠ざかったリモコンに手を伸ばすが、すぐさま双葉はリモコンを反対の手に持ち替えて渡さない。そんな不毛なやり取りが繰り返され、銀時のイライラは頂点に達した。
「いい加減にしろォ!そんなにピザ占い見てーのか!?」
「別に」
「エリカか!ブッ飛ばすぞテメェ!つか天気予報終わっちまうじゃねぇか!!」
 銀時は猛ダッシュで外に出て行った。
 大方、下の『スナックお登勢』か電気屋の宣伝用に展示されているテレビで続きを見る気なのだろう。ここで小競り合いしているよりは賢明な選択である。
 ただ、そこまでして見たいのかと双葉は溜息をついた。
 するとテレビではちょうどお目当てのピザ占いが始まった。表示される三種類のピザから、双葉は何となくトマトピザを選んだ。
【血みどろみたいな真っ赤なトマトピザを選んだアナタ……ごめんなさい最下位です。腐ったチーズみたいにネチネチした態度をとってると嫌われます。悩んでる友達の背中を押してあげれば好感度UPです】
「………」
 正直、占いなどどうでもよかった。ただ兄が女性に浮かれるのを見るのが嫌で、遠ざける言い訳が欲しかっただけ。
 その程度にしか見ないはずだったが、ある言葉が双葉の心を留めた。
 『悩んでる友達』。
 妙にその言葉がひっかかる。他人にアドバイスできるほど自分は器用じゃない。
 いや、そもそも今の自分に『友達』と呼べる知り合いはいただろうか。
 酢昆布娘とは毎日いがみ合ってばっかり。ゴリラ女にメス豚、他の女性とも顔見知り程度だ。
 機械(からくり)家政婦のたまとはハッキングした仲だが、その時のデータは消した。自分と関わった記憶は、あの機械人形には残っていない。
【今日の大江戸はポカポカの晴れです。それでは皆さん良い一日を】
 適当にチャンネルをいじると、偶然結野アナの天気予報にとまった。
 晴々した爽やかな笑顔だ。この笑顔を見て不快に思う者はまずいないだろう。
 見ているだけで彼女の中に優しい心があることが伝わってくる。
 そして、彼女の笑みにどれだけのチカラがあるのかも。
 テレビに映るお天気アナの優しい表情を双葉は静かに見据え―
「人を元気づける『笑顔』、か……」
 どこか物憂げに呟いて空を見上げた。
 万事屋の窓にはさっきより
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