暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
第二章 天空の大陸 アルビオン
婚約者
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軽いね、まるで羽のようだ!」
「お、お久しぶりです、ワルド様・・・」
「ワルドでいいよ。婚約者じゃないか。」
暫く二人の空間を作っていたワルドとルイズだったが、やがてこの場の皆と自己紹介をかわした。ルイズが憮然とした様子で架を使い魔だと紹介すると大層驚いていた。
「ほお、君が・・・。噂には聞いていたが、人間の使い魔とはな。ところでルイズ、彼と何かあったのかい?」
「いえ、別に・・・」
「そうかい?ではそろそろ出発しようか。おいでルイズ、僕のグリフォンに乗せてあげよう。」
「え・・・え、ええ。お願いしますわ。」
ルイズは一瞬(本人は気付かれないと思いながら)架の方を見たが、すぐに思い直しワルドに従った。
架はそんな二人の方をじっと見つめている。ワルド・・・相当な実力だというのは一目でわかるが、それとは別に嫌な気配を感じる。
考えているとキュルケが近づいきた。
「どうしたのダーリン。もしかして嫉妬してるの?」
キュルケの問いにそんなんじゃない、と心の底から言ってから続けた。緊張した目線を彼らに向けたまま。
「あいつ・・・危険だ。」
「え?」
架の呟きにキュルケが聞き返そうとした時だった。
「準備の方は出来ましたか?」
「「「「「「!」」」」」」
何の気配もなくいきなりかけられた声に、全員が大なり小なり驚いた反応を見せた。すると、朝霧の中から一人の男が現れる。
「貴公は?」
「ご挨拶が遅れました。私、この学院の者でヴァロナと申します。今回の一件につきましては、私も場に居合わせたもので。姫殿下の代わりに皆さんを見送りに参りました。」
ワルドの問いにヴァロナは優雅に一礼して答えた。彼の本性を知る架とルイズはその皮の被りように内心「うわぁ・・・」と呆れていたが。
ワルドは探るような目でヴァロナを見ていたが、ルイズたちの様子から彼の言い分に嘘がないと判断すると幾分か警戒を解いたようだ。
「ふむ、それで姫殿下は。」
「学院長であるオールド・オスマンの元でございます。此度の任務を生徒に任せる以上、学院長に話を通さないわけにもいかないでしょう。」
「よろしい。ではミスタ・ヴァロナ、君もこのことは一切他言しないように。」
「御意に。」
ヴァロナとの事務的な会話を終えたワルドは、改めて皆を見渡すと「それでは出発する!」と宣言した。
先頭をワルドとルイズが乗るグリフォンが空を駆け、残りのメンバーの馬たちがそれに続く。
ヴァロナは一人一人に「いってらっしゃい。」と笑顔で声をかけている。
そんな彼に、最後尾の架が馬の上から体勢を低くして耳打ちした。
「少し、頼みがある。」
「あん?」
返ってきたのは彼本来の声音とスゲェ嫌そうな顔だった。
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