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IS 〈インフィニット・ストラトス〉 〜運命の先へ〜
第22話 「騒がしい実習」
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地面に衝突する前に勢いを殺すしかない。《武神》の推進力なら逆方向に引っ張れば止められるかもしれない。最低でも出来るだけ速度を落として俺がクッションになるくらいはしてやらないと。俺は急いで山田先生のもとへ駆けつけると手を引っ張る。

「うおっ!持ってかれる・・・!」

手を掴んだ瞬間、尋常じゃない力で反対方向に引っ張られる。腕が引きちぎられそうだ。決して重いとは言わない。女性に言うには緊急時とはいえ失礼だ。うん、俺は紳士だな。・・・ってそんなこと考えてる場合じゃなかった。このままじゃ地面に激突必至だ。

「チッ、『素戔嗚』!」

ちょっと荒い手段だが仕方ない。『素戔嗚』を展開した状態で瞬時加速を発動、山田先生をぶん投げる要領で無理矢理抵抗する。これが功を奏したようで勢いを見事相殺、地面に激突するギリギリの地点で体勢を安定させることができた。ふぅ、授業の序盤にこんな受難があるとは・・・。

「ご、ごめんなさい、神裂くん。どうしても止まらなくて・・・。」
「別に構いませんよ。」

すごく申し訳なさそうに山田先生が謝る。本来ならこの技術不足を糾弾したいところだが千冬さんの手前それはやりにくい。というか、この人を責めるのは幼い女の子を頭ごなしに叱っている時のような強烈な罪悪感に襲われる。なので特に何も言わないことにした。

「さて小娘ども、いつまで惚けている。さっさと始めるぞ。」
「え、あの、二対一で、ですの・・・?」
「いや、流石にそれは・・・。」

うーん、こればかりは千冬さんの言い分といえど2人と同様に首肯しかねる。急ブレーキも碌にかけられない操縦者が代表候補生2人を相手にするのはちょっと見てられないというか・・・。しかし、3人の渋面を目にしても千冬さんは余裕の笑みを崩さない。

「心配するな。山田先生はこれでも元日本代表候補生だ。今のお前たちならすぐ負ける。」

この発言に喧嘩を売られた代表候補生2人はムッとする。ほう、千冬さんがそこまで高く評価するとは。相当な腕前の持ち主なのだろうか。山田先生がそれほどの手練れとはどうも思えないんだけどなぁ。機体も学園配備の量産機の1つ、《ラファール・リヴァイヴ》だし不安要素のほうが多い。まあ、あまり否定して俺が代役にされるのも面倒だし黙っていよう。

「では、始め!」

千冬さんの号令と同時に3つの機影が飛び立つ。遠目に見ても分かる。山田先生の雰囲気がさっきと違う。極めて冷静に、いつものほんわかさは鳴りを潜めて雰囲気に鋭さを感じる。・・・なるほど、思ってたより期待できそうだ。さて、我らが副担任の実力、確と見せてもらうとしよう。

「手加減は致しませんわ!」
「本気でいくから、覚悟しなさいよ!」
「いきます!」

全員が図ったように同時に動き出す。
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