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少年少女の戦極時代・アフター
After9 甲殻奇兵 A
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、あの曲刀2本が角に対応するなら?
 答えはこの状況だ。

 背後にいるチャッキーたちからは見えないが、イザナミインベスの悲鳴が上がるたび、イザナミインベスは体のどこかしらを曲刀の鋏によって切断されているのだろう。

(もし貴虎さんが来る前にこのインベスが負けたら)

 パニックを起こしかけた時、ペコがチャッキーの手と肩を掴んだ。

「俺だって、今度こそ……っ」

 ペコが一緒にイザナミインベスを操作しようとしてくれている。

(そうよ。一人でダメなら二人で。ピンチの時、仲間と力を合わせるのは恥ずかしいことじゃない。あたしだって。ペコとなら)

 イザナミインベスがクワガタインベスの曲刀の鋏に対して攻勢に出た。

 あとはこれで貴虎が間に合いさえすれば。


 キュキキキキーーッッ!


 車の乱暴なブレーキ音がした。
 もしや、と視線をやれば、運転席から出てきたのは、呉島貴虎その人だった。





 駆けつけた貴虎は、チャッキーとペコの背中の両方に大きな掌を当てた。

「よくやってくれた。後は私に任せて離れていなさい」

 貴虎は、チャッキーとペコが二人で握るヨモツヘグリのロックシードを取り上げ、開錠・施錠し、イザナミインベスを還した。

「でも貴虎さん、ドライバーもロックシードもないのにどうやって」

 貴虎はスーツの懐から、イニシャライズされていない戦極ドライバーを取り出した。
 チャッキーもペコも目を瞠り、まじまじと貴虎を見た。

「駆紋に渡りをつけてもらったとはいえ、次期“財団”のトップ候補との会談は肝が冷えた。だが、おかげでどうにか1台だけ調達できた。ロックシードも持っている。だから心配は要らない。さあ」
「は、はい」

 チャッキーはペコと支え合い、都市公園の出口へと歩き出した。
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