五話:審判と運命
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むき出しにしながら唸るように話すアルフにつられてヴィクトルも戦闘態勢に入る。相手も子供なのだろうが、フェイトの邪魔をするというのであれば殺すまではしないが容赦はしない。ヴィクトルがアルフとフェイトが見上げる先を同じように見つめるとそこには宙を飛ぶ白い制服の様なバリアジャケットを着た見覚えのある少女が居た。そのことに驚いて声を掛けようとしたところで相手が先に口を開く。
「あの、私の話を聞いて……くれないかな?」
「私には話す理由なんてない」
「昼間に言ったはずだよ。ちょっかい出して来るならガブっていくってね」
少女の言葉に対して冷たく返すフェイトとアルフ。その言葉にはハッキリとした拒絶の意志が含まれていた。少女はビクリと震えたものの、決意を揺るがせることなく踏みとどまる。そして、今度は少女の肩に乗っていたフェレットらしき動物が叫ぶ様に話し始める。
「キミたちが集めているジュエルシードはとても危険なものなんだ! 使い方を誤ったりしたらとんでもないことになる、それをキミたちは分かっているのかい!?」
「だとしても、私達はフェイトの為に止めるわけにはいかないのだよ」
「え? あなたは猫を助けてくれた人!?」
ヴィクトルが会話に口を挟んだことでようやく少女は彼の正体に気づき驚きの声を上げる。フェイトとアルフも二人が知り合いだったことに驚きの表情を浮かべて彼を見つめる。見られている彼は少しばかりの気まずさを感じながらも顔に出すことはせずに少女を見つめて声を掛ける。
「まさか、君がアルフの言うおちびちゃんだったとは……驚いたよ」
「私の名前はおちびちゃんじゃなくてなのは! 高町なのはです!」
「名乗られたのなら答えておこう。ヴィクトルだ。なのは、ここは手を引いてはくれないだろうか? 私達は三人。それに対して君達は二人だけだ。君達は不利だ」
簡単な自己紹介を終えた後に淡々とした声で、話しかけ穏便に済まそうとするヴィクトル。流石の彼も知っている子供と戦うのは出来ればやりたくないことだ。その為に話し合いに見せかけた脅しを行いなのはを退かせようとする。フェイトも元来優しい性格なので相手を傷つけることを喜ばないだろうと判断しての行動だった。だが、なのはは退こうとはしなかった。それどころか予想外の返事を返してきた。
「逃げない、だってすぐに助けが来てくれるから! 私達の所に―――ルドガーさんが」
「なん…だと?」
「なのは! 無事か!?」
ルドガーという名前に驚愕してエメラルド色の目を大きく見開くヴィクトル。そして、それと同時に聞きなれた忌々しい声が近づいて来る。現れた青年の姿は銀色の髪に右前だけ黒く染めたメッシュ。同じように整った顔立ちにエメラルド色の瞳。
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