番外『有り得ぬ世界』
交節・月光が求むのは鉄色の刃
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と攻撃を受けて距離を取る。
違和感にすぐ気が付いたか、ガトウが草花を散らして蹴り飛んでくるが―――運が味方したか、ジンが一歩早かった。
彼の真骨頂が、今解放される。
「ふうぅぅ……っ!!」
スキル名《月光神竜》発動状態となった影響で、元の色から変わって黄色と化した瞳を向けられ、僅かながらガトウの顔に驚きの色が浮かぶ。
スキルの影響で月の光を帯びた刀が、工芸品の如く美しい煌めきを放つ。
「月光石火!」
脚元が薄ら光り、ジンの姿が消えた。
これが彼の持つスキル……そして彼の真のスピードだ。
高速を越えた “光速” とも見紛わんスピードを持ってして、突発的に接近して刀を振りかぶり、一太刀を短剣でズラされたのを合図とし、フェイントを織り交ぜガトウの背後へと回り込む。
「うおっ?」
―――そしていきなり屈まれ足払いをくらう。
直後、左腕で突き上げるような掌底を打たれ、三度体を折り曲げて転がった。
今のは間違いなく、ジンの圧倒的速度に対応した、としか言いようがない。
狼狽するも焦っては相手の思う壺、ジンは空中に居るまま片手を着き、勢いを殺して体勢を立て直す。
《月光石火》にて大幅に上がった敏捷力をフルに発揮して、ガトウの周りを走り回り撹乱する。最初こそ黄色と変わった瞳に驚いてこそいた様だが、既に元の無表情へ戻っているガトウは、それを見ようとまだ特別警戒している風でも無い。
ジンは思い切り地草を蹴って、右側に陣取ると見せかけ左側に移動。刀を腰溜めから抜き放った。
「! 消え……だっ!?」
目を白黒させたジンは、唐突に肩へ掛かってきた重量に耐えきれずよろめき、背中に重い何かが突き刺さって更に斬られた感触を受ける。
目線の身で確認すれば、ガトウは背後に居り短剣を振り上げていた。
まさか、先の斬撃にも対応したと言うのだろうか。
「月光……仭裂!」
武器に宿りし月光が瞬き、剣が幾度もガトウへ襲いかかった。
左袈裟からの一撃目は左から押して安全地帯へ移動、右からの二撃目をバク転と側転の合わせ技にて皮一枚で回避、三撃目の右袈裟をまたも同方向から鎬へ振りつけ無効。
四撃目の突きは短剣を合わせて本人が回転し肉薄。
五撃目は近過ぎて直ぐに繰り出せず、柄で叩かれて停まる。
そして肩で行うかち上げのタックルから、体術スキル『穿鉄』のフロントキックで後方へ弾き飛ばされた。
(何故……毎度毎度付いて来れるんだ……!?)
ジンのスピードに付いて来られる訳―――実は意外と単純なのだ。
幾ら超スピードを持ちえ携えて
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