第8話
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―――何故そこまで彼女が敬遠されているのか、袁紹や公孫賛は最初理解に苦しんだがその日、私塾で開かれた戦術の問答でその原因を垣間見る事が出来た。
「―――だから、この教本通りの策では不十分よ」
「まだ言うか曹操!!どこが不十分だと言うのだ!!」
教本に記された戦術の策について意見が対立した曹操と他の塾生達、あくまで教本の策が最善だと言い張る塾生達に対しそれでは不十分だという曹操、問答が堂々巡りになったところで彼女は席から立ち上がった。
「どこへ行く?孟徳」
問答に参加していなかった袁紹は、曹操が扉に手を掛けた所で声をかける。
「帰るのよ、無駄な時間を過ごしたくないもの」
「に、逃げるのか曹操!!」
扉を開ける彼女に、問答で一番食って掛った塾生が言葉をぶつけたが、―――そんな彼を冷たい眼差しで見遣った曹操が口を開く。
「『逃げる』と言うのは、私が発案した策に対して意見する事もせず、思考停止したように無難な教本の策を祭り上げている人達の事を言うのよ、どこかの誰かさんのような……ね」
皮肉が詰まった言葉をその塾生にぶつけると、今度こそ扉を閉め部屋から出て行った。
―――な、なんだあいつは!?
―――あれが曹孟徳の合理主義か
―――でも、さっきの策は理にかなっていたよ
―――机上の空論だ、あんなのは策ではない!
―――ハァハァ
彼女が出て行った塾内は途端に騒然とし、熱くなった塾生達を公孫賛がなだめるように声を掛けていた。
(ここは公孫賛に任せても大丈夫そうだな)
しかし、五十は超えるであろう人数を彼女一人で抑えれるわけも無く、公孫賛はこんな時に頼りになる名族に目を向けたが、そこにいるはずであろう友の姿は無く空席だった。
………
……
…
「あら、貴方も帰るの?」
「……」
自分を追いかけてきた友の姿に、冗談めかしに彼女が言う。
「孟徳、我は」
「連れ戻しに来たのでしょう?残念だけど戻る気はないわ」
そう言って踵を返そうとしたが、
「勘違いするな」
「え?」
「我は孟徳が発案した策の穴を言いに来たのだ」
「っ!?」
予想外の言葉におもわず驚愕の顔を見せる曹操、それもそのはず。先に提示した彼女の策は短時間で考案されたものであったが、どこまでも効率と合理性を追求したものであり彼女の自信作であった。
「……へぇ、じゃあ説明してもらおうかしら」
少し驚いたものの、すぐにいつもの調子に戻る。そんな彼女を見ながら袁紹は口を開けた。
「まず、お主の策には高い錬度を持つ軍が必要となる。そして一昔前ならともかく今の時代にそこまでの軍はそんなにいない」
「……」
「次に、
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