第七章 歌姫
第10話 始点
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と笑ってみせた。
まるで、自分に会いに来たように。
佐天「あの、どうしてここにいるんですか?」
御坂「あら、いたら何かマズイことでもあるの?」
佐天「……特に無いですけど」
食蜂「ま、そうよねぇ。″精霊″とあろう人は何も困ることは無いわよねぇ?」
佐天「……」
しばしの沈黙。
ここまでは想定内。誘導尋問に近いことをさせ、何とか彼女の正体を掴みたい。
だが、佐天の顔はなぜかポカンとしていた。
その直後、
佐天「ふふ、あはは……」
突然、腹を抱えて笑いだしたのだ。
「「……え?」」
この展開には二人も予想外だったのか、今度はこちらが驚く番だった。
先ほどの笑みを取り戻した佐天から言われた言葉は、信じたくないものだった。
佐天「やっぱりバレてたんですね」
突如、衝撃波が御坂と食蜂の身体を襲った。
佐天を中心にして、まるで戦闘の開始を告げる音のように、冷酷な怖さだった。
佐天「どこからその事を知ったのは知りませんが……」
特に変わった様子も無く、彼女は平然と立っていた。
佐天「確かに、私は『精霊』になりました。あの日、『あの人』にこの力をもらってから……ね」
あの日ーー六月二二日に琴里と士道が精霊の力を封印するためのデートをした時に、佐天がたまたま会った『あの人』
霊力封印する少し前に観測された琴里ともう一つの霊波反応。
そして、学園都市で御坂と白井の身体を治癒した謎の能力。
その、全てがーー佐天の精霊の力。
佐天「どうします?私と戦いますか?」
その余裕の表情に御坂と食蜂は若干の恐怖を覚える。
学園都市のLevel5とあろうものが、たかがLevel0の笑顔ごときで身を引くなどありえない。
御坂「……それもいいわね。佐天さんの能力もどんなものか気になるし」
食蜂「そうねぇ。でも私は遠くから見守ることにするわぁ。私、そっち向きじゃなーー」
と、ふと言葉が止まった。
御坂「……アンタ、どうしたの?」
御坂が食蜂の顔を見ると、いつもの彼女からは考えられないような顔をしていた。
驚愕と恐怖。それを織り交ぜたような、今にも倒れそうな顔だった。
食蜂「影……」
言いながら、ある一点を指差す。
御坂「……え?」
つられて見ると、そこには驚くべき光景があった。
雲一つない空。今にも日焼けしそうな、濛々と照りつける太陽。
彼女達を影で覆う大きな建物もない。
なのに。
佐天涙子には影がなかった。
佐天「……」
幽霊なんてこの
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