第七章 歌姫
第10話 始点
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それを使えば、少なくても士道を安全な場所に連れていけたはずなのだ。
それなのに……。
と、
ふと気付いた。
爆発して充満していた煙の中に影があったことを。
麦野「……あ?」
士道を殺した″はず″の麦野が眉をひそめる。
すると、黒い煙の中から、一人の女の子の声が聞こえてきた。
「……ふぅ、こちらも間一髪でいやがりますね」
煙から徐々に明らかになっていくシルエット。独特の口調。そしてあの声。
間違いない。あれはーー
上条「……ま、な?」
ゆっくりと、その煙の中から姿を現した。
黄色の半袖に上から黒い袖なしパーカーを羽織り、半ズボンジーパンにスニーカーという如何にも緊張感のない私服姿だった。
その士道に瓜二つの少女は顔に怒りマークをつければ似合うような形相をしていた。
真那「当麻さん、お久しぶりです」
上条「お、おう……真那も元気そうだな」
真那「はい。あいつらをぶっ殺したいぐらいに」
あ、これは完全にブチ切れてるな。
上条「士道はどうした?」
真那「逃がしました。姿が見えなくなるのを確認してから出てきましたから」
つまり、真那は士道を護ったあと、士道を完全に逃がしてから登場したということ。
美九に逃げられつつもエレンを追う士道の気持ちは誰にも分かるまい。
だけど、
目の前で兄を殺されそうになった真那の気持ちも分からない。
それでも。
上条「……あいつらを倒すぞ。協力してくれよ!」
真那「分かっていやがりますよ!私がどれだけ強くなったか、当麻さんに思い知らしてあげます!」
それと同時に二人は駆け出した。
自分への怒りと敵への怒りが支配する上条と真那は、そう簡単には倒されはしない。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
その頃、佐天はというと、
佐天「〜〜〜♪」
鼻歌を混じらせなから元気よく歩いていた。
今日は休日。来弾高校の文化祭に行っても良かったのだが、美九の攻略の場でもあったので行くのを控えていたのだ。
買い物に出かけるために家を出たのはいいものの、特にすることがない。
やっぱり帰ろうか、と思い後ろを振り向いた。
その瞬間、佐天の笑顔は驚愕へと変貌していった。
なぜなら、
御坂美琴と食蜂操折が後方一〇メートルのところにいたのだから。
佐天「……え?」
御坂「久しぶりね佐天さん」
食蜂「私とは初めてかしらぁ?私は食蜂操折。御坂さんと同じ学校の人って思ってくれればそれで良いわぁ」
対して二人はニッ
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