第七章 歌姫
第10話 始点
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上条が外に出ると、そこにはすでに事が済んでいた。
壁に叩きつけられていた士道。もうここにはいない十香。
上条「士道!大丈夫か!?」
士道「だ、大丈夫だ……それより十香を!」
士道が肩を抑えながら指差すその先は、澄み通ったような青空を指していた。
そこに、僅かに見える十香を連れ去っている存在。
士道「あれは、エレンさんだ……!」
上条「エレンさん……!?」
驚愕の色を隠せない。
なぜ、彼女がここに……?
考えてる暇はない。と、上条が思い直し、空を飛んで追いかけようと思ったその時。
「テメェが五河士道か」
声が聞こえると同時、緑色で筒状の閃光が飛んできた。
咄嗟に上条が右手を突き出し、それを防ぐ。
上条「なんだ……?」
その人たちは、どこかで見た事あるような顔ぶれだった。
紅色のドレスのようなワンピースを着た人やオレンジ色のパーカーに短パンの少女、それにピンクのジャージで統一された少女。
麦野「あいつを殺れば全てが終わんのか?」
絹旗「殺さなくても超いいんじゃないですか?」
滝壺「……南南東から信号が来てる」
そして。
一度、本気で殴り合ったことのある少年。
上条「浜面……」
浜面「久しぶりだな大将」
ここにいる人たちは浜面が守ろうと決めた大事な人たち。
でも。
だからこそ。
上条「何でこんなことを……」
気になる疑問があった。
浜面「こっちにも事情があるんでね」
その顔はどう見ても本気ではなかった。
罪悪感しかないのにやらなければ大事なモノが失いそうな悲しい予感。無理にやらされる労働。
まるで、人質に取られたように。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
上条「士道は逃げろ。こいつらはタダモノじゃない」
士道「で、でも……!」
上条「多分、″今の俺″じゃお前をかばいながら戦うことなんてできないんだ。だから……」
邪魔、という理由もあるがそれだけではない。
連れ去られたお姫様を助けるために、先に行けと、そういうことだろう。
それを察した士道は何も問うことなく、一言だけ。
士道「……わかった」
そして、士道は全力でエレンが逃げていった方向へと向かう。
それに、すぐさま麦野が反応し、閃光を放ってくるが上条が士道の後を追ってそれを幻想殺しで防ぐ。
それを繰り返していけば確実に士道を逃がせると思っていた。
だが、そう簡単にはいかなかった。
絹旗と浜面が上条にの方へと走ってきたのだから。
上条「……くっ!?」
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