第七章 歌姫
第9話 操られし仲間
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
の凍てつく冷気。それが合わさり、まるで『吹雪』のように四人を襲う。
体育館はその『吹雪』によって天井や壁に大きな穴を開けていた。
耶倶矢「くかか、どうした愚兵どもよ。汝の実力はその程度ではないだろう?」
夕弦「同調。この程度では話になりません」
四糸乃「弱い、です……」
よしのん『さっさと本気出しなよ〜。こっちも本気でやりたいんだからさ』
本気を出せないのは当たり前だった。
相手が自分達の仲間。関係ない観客達。
理由無く人を……友達を殴るというのはどれだけ辛いのだろうか。
十香「……っ!」
十香が耶倶矢と夕弦と四糸乃の下を通り美九のところへと駆け出す。
そのまま〈鏖殺剣〉を構えて、一気に振り下ろす。
そこで。
【わッ!!!!】
凄まじい、怒声のような声が聞こえた。
十香「うおっ!?」
その勢い、気合いに十香は八舞の風ほどではないが、吹き飛ばされた。
吹き飛ばされた十香は重力の思うがままに地面へと吸い込まれ、尻餅をついてしまう。
美九「ふぅ……危なかったですぅ。もう、他の精霊さんもしっかりしてくださいよぉ」
耶倶矢「この八舞耶倶矢とあろうものがお姉さまを護れんとは……」
夕弦「失態。申し訳ありません」
四糸乃「次から、そんなこと……させません……!」
よしのん『やっぱりこっちも本気で行っちゃおうよ。手加減するだけ無駄だよー』
美九の前に彼女の盾のように並ぶ八舞姉妹と四糸乃とよしのんがいた。
十香「く……」
ゆっくりと立ち上がり、〈鏖殺剣〉を構える。
だが、それとほぼ同じくして、あの『吹雪』が十香たちを襲った。
その威力は、先ほどとは比べものにならないぐらい、豪快で、力強かった。
十香「わっ!」
士道「くっ、そ……!」
上条「く……!」
一方「……」
一方通行以外の三人が吹き飛ばされ、『吹雪』によって開いていた穴に吸い込まれるように抜けていった。
つまり、外に出たのだ。
上条「くっそ……」
一番先に戻ってきたのは上条だ。
頬を切ったのか、手の甲で赤い液体を拭いながらゆっくりと歩いてきた。
一方「……上条。ここは俺がやる」
上条「……いいのか?」
一方「あァ。テメェらがいると本気も出せねェしよォ」
上条「でも、俺たちはどうしたら……!」
一方「五河琴里までもがあいつに操られてるンだ。まずはあの女をコッチ側に戻せ」
上条「……わかった。……″殺すなよ″?」
一方「当たり前だ。俺を誰だと思ってンだ?」
二人は一度顔をあわせるとフッと笑い、上条はそこから背を向けた。
と。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ