第七章 歌姫
第7話 開催
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『これより、第ニ五回、天宮市高等学校合同文化祭、天央祭を開催いたします!』
天井付近に設えたスピーカーから実行委員長の宣言が響くと同時に各展示場が拍手と歓声に包まれた。
士道が辺りを見回すと、たこ焼き、クレープなどの模擬店が展開されている。
だが、士道たち来禅高校の必勝策はそんな生易しいものではなかった。
それは、士道の背後に聳え立っている看板が示していた。
『メイドカフェ☆RAIZEN』
そして、そこには
十香「おお、ひらひらだな!」
フリルいっぱいについたエプロンの裾をつまんでひらひらさせながら笑う十香や、
耶倶矢「ぷ、くく……士道、お主の格好もなかなか似合うではないか」
夕弦「不覚。失笑を禁じ得ません」
士道の姿を見て含み笑いを漏らす、十香と全く同じ格好をした耶倶矢と夕弦がいた。
そして、それは士道も。
彼は、今完璧なメイドさんなのだ。
士織「……なんで、こんなことに」
女子高生の制服も大概だが、さすがに士道もメイドさんのコスプレをする日がくるとは思ってなかっただろう。
ちなみに耶倶矢と夕弦は、本来なら劇の裏方なのだが、本命の出し物を前に裏方ではもったいない、と推薦がきたので今はこうしてメイドさんになっている。
っていうか、良く許可が下りたなこれ。
上条「頑張れよ」
背後から肩をポンと叩かれたと思うと、そこにはエプロンをつけた上条がいた。
士織「あれ、上条はどこの出し物担当なんだ?」
上条「メイドカフェの隣の模擬店さ。たこ焼きや焼きそば出してるんだ」
士織「……あれか、料理スキルを買われたカンジか」
上条「まあな」
じゃ、と一言残して彼は隣のクラスへと入っていった。
この優遇の差はなんだろう。
とか思いつつくるんと教室の方を向くとそこには同じ格好をした亜衣、麻衣、美衣も見受けられた。
亜衣「どーしたのよ看板娘。ほら、そろそろお客さんくるからしゃんとして」
言って、ビシッと親指を立ててくる。
士織「は、はい。頑張ります」
派手にやってほしいとついでに頼まれたがそれはそれで士道の心がズタズタになるだろう。
そんな士道の気持ちなど知る由もなく、メイドカフェは徐々に賑やかさを増していった。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
メイドカフェがオープンしてしばらく経ち、賑わいがようやく落ち着いてきた時のことだった。
「なかなか調子がいいみたいじゃないかシン」
前方から眠たげな声が聞こえたかと思うと、〈ラタトスク〉の解析官兼、士道たちのクラスの副担任の村雨令音がいた。
その横に、麦わら帽子を被った可愛らしい少女と
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