空白期 中学編 22 「賑やかな八神家」
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「――っ!? ……今のは割りと痛かったんやけど」
はやては両手で頭を押さえながら振り返る。客観的に見れば可愛く見えるのだろうが、俺からすれば見慣れた光景だ。故にここで終わるような真似はしない。
「痛くしたんだよ」
「……暴力反対や」
「ショウさん、リインにはないんですか?」
……はやて、お前がバカなことばかりするからリインがおかしなほうに進んでるじゃないか。
真似をしたりするのは人間らしくなっていると言えるので喜ぶべきことでもあるが、このまま成長されるのは困る。はやてがふたりになってしまったら堪ったものではないし、何よりファラとセイがどう反応するか……姉代わりとして可愛がっているだけに、はやてのようになってしまったらきっと絶望してしまうだろう。
「あのなリイン……別にお前のことを仲間外れにしたわけじゃない。けどお前にも怒ってはいるんだからな。人の真似をするなとは言わないが、本当に嫌がっている相手にはああいうことはするな」
「……分かりました。ちゃんと判断できるように努力します」
感情を素直に表に出すリインは、落ち込むと実にしょんぼりという表現が合う言動を取るので反省しているのが分かりやすい。なので今後は気を付けろと言いながら頭で撫でてやりたくもなる。
……しかし、リインの主様は本当に反省しない奴だな。次は自分の番かな、と言いたげな顔でこっちを見てきているし。
「はやて、言っておくがお前にはしないぞ」
「何でや、昔は頭撫でたり手を繋いだりしてくれてたんに。最近のショウくんはケチやな」
誰がケチだ。中学生にもなって頭を撫でたり手を繋いでるほうがおかしいだろ。お前だってそう思ってるから前ほど必要以上に近づいてこないんだろうが。
「人にセクハラする奴が何様だ。大体自分がされたら嫌なことをするなよな。お前だって……」
はやてが他人から……、ということを考えてしまったせいか、不意に夏の出来事がフラッシュバックする。事故というかはやてのせいではあるのだが、あの日俺は彼女の胸を何もない状態で見そうになってしまった。互いの反応が早かったので見てはいないのだが、それでもあれは刺激の強い出来事だった。
顔が赤くなってしまっていたのか、はたまた付き合いが長いだけに俺の考えていることを直感的に理解したのか、はやての顔に赤みが差す。彼女は俺の襟元を掴むと揺さぶりながら口を開いた。
「ちょっショウくん、何を思い出しとるんや!」
「べ、別に思い出してない!」
「慌てとるってことは思い出しとるってことやないか!」
実際に思い出してしまっただけに言い返しにくい。
だがここで引くわけにはいかない。はやてに何かしたとあっては、はやて大好きのヴォルケンリッターがどう動くか分かったものではない。
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