第八話 『神河市』
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なりの炸薬量だ。」
民間で取り扱う危険物でも、ここまでの地響きを起こすほどのものはそうないはず。だとしたらやはり爆発物か。
「ちょっと様子を見てくる」
俺がそう言うと、広一は無言で頷き意味合いがよくわからない笑顔を向けてきた。俺はその笑顔を背に、
部屋をあとにした。
外に出てみると、ふたたび同じような揺れと轟音が俺の身を襲った。
「クソ……一体なんだってんだ」
「零斗!」
外に出てすぐ、陵太がこちらに走ってきた。
「陵太!何が起こってんだ!」
「航空自衛隊のF35だ!市街地を中心に空爆してやがる!まだ2発しか射ってねーが、あと何発ぶちこむ気かわからない。陸自の地上部隊も展開しているようだし、何が起こってるんだ」
2発だって!?俺が驚いているのは、昼間には見えていた町並みの、約3分の1が無くなってしまっているからだ。確かに爆音は二回しか聞こえなかったが、たった2発で町の3分の1を破壊したってのか!?
「なんなんだよあれ……。核じゃないだろうな」
俺がそう呟くと、すかさず陵太が言ってきた。
「それに近いものだよ。あれは非水核式高威力破壊兵器、通称 ゲイ・ボルグだ。自衛隊が開発、運用してる。核や水爆に変わる放射能を放出しない新しい兵器として、世界に訴えかけていこうとか言ってたな。あれはそれの空対地ミサイルに転用したバージョンだな。」
ミリオタや……果てしなくミリオタや……そう思ってしまったが、口に出すと「オタクじゃねー!」と言ってぶん殴られるので、これは俺の心の中にとどめておこう。
しかし、何故自衛隊が……?治安出動ができたとしても空爆はやりすぎだ。それに何故この町に?盆地の中にできたたいして大きくない町より、東京や政令指定都市に部隊を配置するはず……なのに大規模な地上部隊にとどまらず、航空機まで支援部隊として派遣している。一体この町に何があるって言うんだ……。俺はこのとき、この町に隠された秘密を、まだ知るよしもなかった。アラビア半島に突如発生した謎の感染症。そして神河市に現れた自衛隊。この二つが結び付く真実は、一体どこにあるのだろうか。
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