【東方Project】編
076 向日葵畑の日影
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花畑の花──向日葵が咲いているのはおかしくない。……しかし、寡聞だが向日葵は17世紀くらいに日本に伝来したはずで──つまり、現在∞日本≠ノ在るのはおかしいと云うのは判る。……ゆえにシホにどう語るか困った。
(……まぁ、輝夜が俺と暮らしている時点で今更か。そんなことは…)
「ああ、あれな──」
そんな理由で開き直り、シホに向日葵について教えようとした時の事だった。
――「私の庭≠ノ何か用かしら?」
「「っ!!?」」
いざシホに語ろうとしたその時、俺とシホの背後から不機嫌そうな──されど、そこはかとなく冷たさを孕んでいる声音で語りかけられる。その声に冷や水に押し込まれた様な気分になる。……さっきまで気を抜いてい──この様な強者≠ノ、背後を取られるまで気付かなかった自分を殴り飛ばしてやりたくなった。
(シホ──はダメか)
シホに目を遣れば、首をぶんぶん=Aと音が出る様な勢いで横に振っている。……精神がこの声の主──この女声≠ノ屈服していしまった様だ。
(仕方ない、か)
「……すみません。少し連れの者と行脚している最中に、どうやら貴女様の領域≠ノ入ってしまっていた様で…。……直ぐに出ます」
腹を割り、そのまま──声の主と対面する事もいとわず、シホの手を握り共に身体を翻そうとする。……そうなれば、当たり前のごとくさっきまでの位置関係からして、声の主──彼女≠ニ対面してしまう形になる。……あまり見ない様にしても、彼女≠ェ目に入ってしまうのは仕方ない事。
……彼女≠フ外見を敢えて言うならば、肩に触れるかどうか程度の長さで癖のついたボブカットの様な緑の髪。恐らくはE≠ノ届いていそうな一部≠フ装甲。向日葵に続いて、この時代≠ノは存在し得なかったであろう日傘。……まるで童話かなにかから飛び出て来た貴婦人の様な出で立ちだった。
「待ちなさい」
「……なにか?」
シホの手を引き、その女性に会釈をしつつ脇を抜けようした時──空いていた方の腕がぐわしっ≠ニ掴まれる。……普通に痛いのだが、顔に出さない様に応答する。……そんな俺の態度が、彼女のどこかともつかぬ琴線にいつの間にやら触れてしまったらしく、彼女はにぃ、と口端を上げる。
「私は風見 幽香。この向日葵──は判らないかしら。……この花畑の主よ。長物を背負っている貴方──ついでに混じり≠フ方の娘の名前も聞かせてもらえるかしら?」
「升田 真人。……先にも申しました通り、各地を行脚しながら妖怪退治の真似事をしてます」
「シホ
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