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普通だった少年の憑依&転移転生物語
【東方Project】編
075 紅翼天翔 その3
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を確認した直後、痛烈な衝撃が私の後頭部を襲った。“虚空瞬動”──シンが云うには、確かそんな技術だったはず。……いきなりの衝撃に気を保つ事が出来なくなって、地面が近付いて──或いは、近付いて行ってるのをぼんやりとしている意識で考える。

(……勝てなかったな…)

多分シンは真面目≠ノは戦ってくれたが、本気≠ナは戦ってくれなかった。……それについて悔しくは有るが、シンの本気≠引き出せなかった私の所為という事になる。遠退く意識をそのまま手離す時──気が付けば、シンへと勝手に抱いていた(わだかま)りは消えていた。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「……負けちゃったか」

「……ああ、俺の勝ちだな。……清々したか?」

「うん」

目を覚まし辺りを見渡せばそこは鍛練場でシンに膝枕されていた。……それは兎も角──こうやって、変に誤魔化さずちゃんと勝利宣言してくるのがシンらしいと言える。シンに抱いていた蟠りは無くなっているので、シンの膝から頭を離してシンの質問に答える。……確かに清々とした気分だ。

「法術で木剣に炎を纏わせたのは良い発想だった。……空中に上がってすぐ炎の翼を展開させることが出来たのも評価出来る。……まぁ、制空権を維持出来なかった点はこれからだな」

「……シンはどうして私を強くしようとするの? ……私はシンの敵≠ノなるかもしれないんだよ?」

体面を保つ為にだったが、そう訊いていて私の胸がずきん、とした痛みが蝕む。……思えば愚問だった。私の中でもう既に答え≠ヘ出ている。

……だがこれは、赦す≠ニか赦される≠ニかじゃない。シンは私にとって、今は亡き父上の様な存在で、居はしないが兄上の様な存在で──そして、初恋の相手だった。……思えば簡単な事だった。私はシンと敵対したくない。……ただ、それ≠認めれば良い──それだけの事だった。

「あぁ、ちなみ言っとくが、妹紅に殺されるつもりで鍛えたとかは無いぞ? 殺される可能性を考慮してなかった訳でも無いけどな。……まぁ敢えて云うなれば、妹紅を鍛えた理由は贖罪だな」

「贖罪…?」

いきなりのシンの返答に鸚鵡(おうむ)返しをするしか無かった。……然もありなん。私はてっきり、私に殺される≠ツもりで私を鍛えていると思っていた。……そして私は、そんなシンを否定するつもりだったし──否定する言葉も考えていた。

「……これも言っとくが、その贖罪≠ノついて教えるのは簡単だが、教える気はあんまり*ウい。……世の中には知らない方が良いことも有るからな。……父親スキー≠ネ妹紅は特に知らない方が良い」

「……判った」

シンと出逢って、初めてのシンからの──口調こそいつも通りなものの明確な拒絶だった。……私
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