神の名を切り裂く者
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「もともと天照大神も元は天から落ちた隕石を太陽の化身として捉えたものだった。つまり隕石と太陽は密接に関係している。天津甕星も同じく隕石を化身とする太陽神。甕という字には光り輝くという意味がある。これは金星のことを指しているとされているが、これは元は太陽のことだ。大和の方から見ると天津甕星が信仰されていたのは東の方角、ゆえに東では先に上る太陽を同じ時刻に大和で昇る金星と同一視したんだ。太陽の化身たる隕石と大地や山の化身たる岩、そのすべてが合わさり、天津甕星という神が構成されたんだ。海も岩と同一視される山も太陽も女神が治めるもの。そのすべてを持つ天津甕星が女神でないはずがない」
「元からあった神性にアラハバキの神性を習合し、天津甕星はさらに力を付けていく。領土はさらに増え豊かになっていく。これは民族の融合があった印、神性はさらに高められた。こうして天津甕星は神格を複雑なものにしていく。しかしそれを妬むものがいた。天照大神だ。自分と同じ神格を持ちながら自分よりも優れた天津甕星を羨んだのだ。これこそが国譲りの原因ともなった。そして武甕槌・経津主神を送り込んだ。しかし天照大神の力を少なからず持つ天津甕星を倒せるはずがない。最終的には和解するしかなかった。しかし天津甕星の信仰が衰えてくるとカガゼオと名前を変え男神として、悪人として貶めた。これはアテナとメドゥーサの関係のように天津甕星と天照大神の関係もまた変わっていったことが言える。かつて広い地域で信仰された女神はこうして貶められたんだ」
「その後に天津甕星が金星であることを強調するためにほかの神と習合されていく。それが妙見菩薩だ。かつての最高位の女神の存在を陥れるために妙見菩薩という違う神格に上書きすることによって大和朝廷は天照大神の力を引く天津甕星を人々の記憶から消していったんだ」
北斗は自分から天津甕星の権能が消えたことを感じた。手元にあった銃も先ほど消えてしまった。
今手元には何も残っていないしリリアナさんや恵那さんを倒して護堂さんに攻撃することさえできなかった。どう考えても僕の負けだろう。
「勝負はついたようね」
だがここであきらめたらカンピオーネにはなれない。カンピオーネたちはあきらめないからこそかあんピオーネ(勝者)たりうるのだ。
僕が最後に使える武器、徒手格闘に無理にでも持ち込む。
全身に強化の魔術をかけると護堂さんの足に回し蹴りする。それを受け止め、護堂もまたそれを足で受け止める。
『駱駝』の化身。重傷を受けることにより格闘のセンスを上げる。
北斗の攻撃は確かに護堂の急所を狙ったものだったが、すべて反らされ、躱される。
ついに北斗は力尽きた。
「まあしょうがないですよ。草薙王は北斗さまの何倍という時間を生きているんです
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ