神の名を切り裂く者
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関係があり、天から降ってくる隕石は特別な力を持っているとされる。なぜなら天上の聖性を充填されて地上に落ちる、それは天空の聖性を地に持ち込む惠みを表現しているんだ。スキタイの神話アレースの逸話には天から鉄器が降ってくるというものがある。これは隕石に鉄が入っていることの暗喩だ」
そして護堂は続ける。
「そしてその神話を海神が海に運ぶ。海神はさらに≪鋼≫の神格を強める。ヨーロッパとメソポタミヤと東アジアを結ぶ航路の途中の地で更に神格を複雑なものにしていく。その典型がアーリア人の神である太陽神ミスラを取り込むことになったからだ。それはミスラが石から生まれたことに由来する」
「ミスラは小刀と松明を持って生まれた。これこそまさに空から落ち、火を扱い、岩からとれる鉄を意味する。火の光明神となったミスラ、それが海を渡って新羅、台湾、琉球に渡ったんだ。そして天日槍などと同じく日本に入った」
剣の黄金色が強くなっていく。
「海神アラは各地にその通った跡を残していく。海の神である三宝荒神がその典型だ。各地に存在する荒がつく地はほとんどが海神アラが通った道が残ったものだ。海神アラが通った後は不思議なことに製鉄技術が発達している。それは外国からもたらせられた技術が通った道、鉄を操る技術が通った道であったからだ」
「やがて散らばった神性が集まり一つの神格を作り出した。それがアラハバキだ。塞、蛇、製鉄などを司る強力な神になり、東日本はもちろんのことあちこちにその神格を広げていったのだ。そのアラハバキは元は岩を御神体とする神、そして大地と山を司る神でもあった。これがもう一つのルーツにつながる」
「海神は各地を渡る神、昼子と習合する。これにより昼女、つまり天照大神の神格を東に運んだ。天照大神は長い間宮中に祀られなかった。これは天照大神が国の外からやってきたことの証明だ。天照大神の力をもらい、外国からやってきた神性とあわさった神、それがお前が殺した神、天津甕星だ!!!!」
光る何千もの光球が北斗の周りを取り囲む。自分の天津甕星の力が削れていくのを自覚する北斗。
本当に危なくなってきたなと思いながらどうするか必死に頭をめぐらす。
しかし、どうしても妙案は浮かばない。確か昨日聞いたところによると草薙さんは鋼の神とも渡り合える武術を使えるようになる権能もあるらしい。僕の力では鋼の神と武術で渡り合えるわけがない。
そんな絶望的な状況でもなお護堂の黄金の剣は止まらない。
「ヨーロッパでも金星は良くない星とされる。天から落とされたルシファーや金星の女神イシュタルなどといった者たちはその思想によりあまり良くないイメージがついている。天津甕星はそのイメージを受け継いでいる」
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