名を忘れた国家
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家が国家たる条件は、領土と国民と主権。
この三つで、同盟はそれを満たしている。
だからこそ、忘れていたのさ。
他国の承認という外部の存在をね。
つまり、国境さ」
この会話はヤンの心には響かなかったが、後日効いた緑髪の副官達が紅茶をこぼすぐらい驚愕した事で、やっと重大性を認識したりする。
人形師から本来の物語を教えられていた彼女達は、この国境がアムリッツァのフラグを叩き折れると感づいたからに他ならない。
ヤンがイゼルローン要塞を奪取した直後が同盟にとって最大かつ唯一の独立のチャンスだったのだ。
ヤンがいみじく言ったように、言葉が変わるだけでやっている事は変わりはしないだろう。
だが、国境線を引くという行為は『そっちとあっちは違う』という事を確定させる。
つまり、独立防衛戦争の延長で外征をやらかした、同盟が『対外戦争』に踏み切るという意思決定にワンステップを置く事ができるからだ。
アムリッツァの引き金の一つに選挙があるが、イゼルローン要塞奪取後の独立宣言というのは十二分に与党側にとっての政治イベントになる。
わざわざ、外征を行って支持率を飾る必要はない。
同盟側だけでなく帝国側も意識がいやでも変わる。
反乱鎮圧でなく『敵国征服』になるからで、内政と外征という形で今以上に選択が先鋭化するからだ。
双方に派閥があり、それが中で敵対しているならば、手を取り合える可能性は増える。
まあ、このあたりもフェザーンの工作が入っていたのだろうが。
結論だけ言おう。
自由惑星同盟は、アムリッツァの大敗後でも生き残れる可能性はあった。
そして、その可能性を完膚なきまでに消したのが、皇帝ラインハルトの『冬バラ園の勅令』な訳だ。
圧倒的不利かつ分の悪い賭けではあるが、政治的に外交的に同盟が最善を目指したならば、自由惑星同盟という国家は生き残れる可能性は十分にあった。
ド・ヴィリエ元大主教のこの言葉は、原作よりはるかに状況の良い現在の同盟存続における重要なピースとして意思決定に反映されてゆくのだがそれは後の話。
話がそれた。
「おそらく、同盟の手札が有利すぎるから今のタイミングならば独立承認までは持っていける。
君みたいに名を変えるだけだと勘違いして、『戦争』を始める事の意味に気づかないだろうからね。
その時にフェザーンも独立させる。
フェザーン本星を帝国にくれてやる代わりにね」
何処まで驚かせばいいのだろうとヤンは少し疲れた頭でド・ヴィリエ元大主教の会話を聞くしか無い。
あまりに大仕掛けなので、キャゼルヌ中将の所に持ってゆくしか無いとヤンはこの時に心に決めた。
「フェザーン本星を渡すのに、フェザーンを名乗るのですか?」
「名が気に入らなかったら、カストロ
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