五十話:束の間の休憩
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に面倒くさくなったとばかりに舌打ちをしながらガシガシと自分の頭を掻き、そっぽを向きそう呟く。その言葉にヴァーリは気の抜けた声を出してポカンとした表情でイッセーを見つめる。少し顔を赤くしながらイッセーはヴァーリに手を伸ばして口を開く。
「カスはカスらしく俺に助けを求めりゃいいんだよ。1日位なら面倒を見てやるよ」
「僕を……助けてくれるの?」
「一日だけだ、俺からの施しだ。ありがたく受け取りな」
流石にハーフデーモンの彼女をずっとイタリアに置いておくわけにもいかないので一日と限定する。別に彼は悪魔と言う理由で相手を拒絶する様な人間ではない。彼は相手をカスかドカスでないかで判断する。例外は身内と認めた人間だけだ。それ以外の判断方法は持ち合わせていない。
では、なぜ彼女を手元に置いておかないかと言うとだ、単純に彼女に対して興味がないのと、彼女の身の安全の為だ。常に自分がついていれば安全であろうが、生憎それは出来ない。だからこそ、一日経てば彼女を追い出すのだ。あくまでも彼にとってはファミリーと地域住民以外はどうでもいいのだ。
「とっとと、手を伸ばせ。俺は手を伸ばす奴以外に施しは与えねえぞ」
「う、うん……ありがとう」
「ふん……」
ヴァーリは小さな手を伸ばしてイッセーの手を握りお礼を言う。彼は気に入らなさそうに鼻を鳴らすがその手を離すことはしない。彼女は初めて握られた手に、暖かな感触に戸惑いながらも手を引かれながら歩いていく。そして、彼の家に辿り着き、そこで丁重にもてなされた。
アルビオンは何故赤龍帝であるにも関わらずにドライグが話しかけてこないのかを考えていたが目覚めていないのだと思って一人納得する。ただ、真実としてはドライグがその時、イッセーにより四分の三殺しにされていて、尚且つエルシャの変態行為により肉体と精神のどちらも追い込まれていてそれどころの話ではなかったという事なのだが。
そして、ヴァーリは束の間の優しさに触れ合い心を癒していったが、幸せな時間という物は直ぐに過ぎると相場が決まっているので、気づけば別れの時になっていたのだ。ヴァーリはイッセーがさりげなく呟いた、堕天使の元なら悪魔にも天使にも追われないという言葉を信じて堕天使の元に行くことに決めていた。アルビオンも自分を宿す以上は下手な扱いは受けないだろうと考えてそれに賛成していた。
そして、名残惜しみながら別れを告げるヴァーリだったがイッセーはそっけなく返すだけで感傷の欠片もない。そんな様子に少し傷つくヴァーリだったが黙って立ち去ろうとする。だが、そこにイッセーが声を掛ける。
「ちょっと待て」
「え? なんなのかな?」
突如として呼び止められて困惑するヴァーリをよそにイッセーは近づいてヴァー
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