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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
兄妹喧嘩 A
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た、全ての兵器を作り出したなど多くの逸話を持つこの神は、六人の兄弟と共に天下を横行し、また(あやかし)を従えていた、悪側の存在でした」

当然ながら、湖札はそんなこと気にもしないで言霊を矢に込めていく。言霊を込められている矢はより一層輝きを増し、言霊の対象である一輝はその輝きに寒気を覚えた。

「そしてそこまでの力を持っていたためか、その神は日本へと輸入・・・日本の神に取り込まれます」
「・・・うん?」

一輝はここで違和感を覚えた。このまま中国神話の蚩尤を語っていくのかと思えば、急にベクトルが変わったのだ。当然といえば当然かもしれない。

「その神の名は、兵主神(ひょうすべのかみ)。名前こそ変わり日本の神社にも祀られるようになりましたが、この神の性質は、ほぼ完全に蚩尤のものを受け継いでいます」

湖札はここで、矢を放った。放たれた矢は当然のように一輝の元まで向かい、その胸を貫く。攻撃のための矢ではないそれは一輝を傷つけることはなかったが・・・

「・・・書き換えとか、そんなんありかよ」
「実際、打ち消すよりはこっちのほうが楽なんだよね。・・・まあ、この方法じゃ殺すことはできないし、数日もすれば戻っちゃうんだけど」

現時点ではそこまでの不便はないので驚いているだけの一輝だが、湖札が再び弓を引き、矢をつがえたことで顔をしかめる。まだ、終わらなかった。

「一度で消さなかったってことは・・・なるほど、それが狙いか」
「バレちゃった?」
「ああ。さすがにそれはこまるから、止めたいんだけど」
「止めさせないよ、絶対に。・・・兵主神は、そうして日本で新たに信仰を集める」

湖札が何を狙っているのかを理解した一輝だが、しかし現状は悪化する一方だ今この場は、完全に湖札の優位にある。

「・・・オイ、八面王。どうにかして全力で取っ組み合え」

一輝はもうそこまで余裕がないことを悟り、八面王に対して簡潔な命令を出した。それができるかどうかも怪しく、できたとしてもうまくいくかはわからない賭けであるが、このままやられないためにはこれしかない。

「神という存在に対して寛容である日本だからこそ、他の国の神も受け入れられた。しかし、それも永遠に続いたわけではない。歴史の中で日本には、外国を徹底的に排除しようとする時期が存在する」
「・・・まだだ」

新たな言霊が矢に込められていく中、一輝はじっとその時を待つ。その足元の八面王は、ヤマタノオロチの首の一つに噛みつき、自らの首の一つがヤマタノオロチに噛みつかれている。距離も縮まったまま離れないので、互いに互いを押しつぶさんとしている体勢だ。

「その時期に排除の対象となったものには、他国から輸入した神も含まれた。多くの神がその存在を消され、あるいは書き換えられてい
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