3部分:第三章
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「既に車は手配してもらっていますので」
「早いですね」
「疾風怒濤」
これまた実に大袈裟な言葉であった。
「それが私の行動哲学ですから。既にここに来るまでに全て手配しておきました」
「それで何処に行くんですか?」
「カメルーンとの境です」
とりあえずサッカーに詳しくないとあまりわかりそうにもない国名が出て来た。定文も昌信もサッカー部ではないがそれでもサッカーには興味があったのでどの国かはわかった。
「そことの国境の森林地帯にいますので」
「そこにですか」
「車だとたっぷり一日はありますね」
これまた随分な距離であった、
「では。行きますか」
「いきなり一日ですか」
「アフリカでは短い時間ですよ」
一日と聞いて憮然とする定文への言葉だった。
「ですから。さあ」
「わかりました。それじゃあ」
「行きましょう」
こうして三人は先生が既に手配していた車に乗ってそのカメルーンとの境に向かうことになった。中古の日本車は悪路にもそこそこいけて快適だったが一日どころか二日かかった。境に辿り着いた時定文はへとへとになって車から出て来たのであった。
「ここですよね」
「はい、ここです」
へとへとの定文に対して先生は全く平気な顔であった。昌信は暑い中でも車の中ですやすやと寝ている。どうやら何処でも寝られる体質らしい。
「この森です」
「凄い森ですね」
森というよりはジャングルだった。三歩先さえ鬱蒼として見えない。その中に何がいるか全くわからない。とりあえず入りたくはない場所だった。
「ここって」
「ここにいますよ」
「そのオシツオサレツがですか」
「ああ、着いたんですね」
昌信の声が聞こえてきた。
「意外と早かったですね」
「一日遅れでかい!?」
呑気な顔で目をこすりながら車から出て来た昌信に対しての言葉だった。
「それで早いって」
「だからここはアフリカじゃない」
「アフリカだから何でもいいってわけじゃないだろう?」
「だからさ。日本の常識は通用しないんだよ」
彼は極めて落ち着いた声で定文に返すのだった。
「だからオシツオサレツだっているんじゃない」
「あんな動物何処にもいないよ」
この期に及んでもという感じでムキになって言う定文だった。
「そんな前後に頭がついているなんて」
「信じる信じないは勝手です」
先生はここで彼に対して言うのだった。
「ですが。真実は一つです」
「いないっていう真実がですよね」
「それじゃあさ」
ここでまた昌信が彼に言ってきた。
「あれは何なの?」
「あれ!?」
「そう、あれ」
昌信は自分の真正面を指差して言う。
「あれ。っていうかこれだね」
「これ・・・・・・」
ここで自分の周りを見る定文だった。すると。
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