暁 〜小説投稿サイト〜
化かす相手は
2部分:第二章
[2/2]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話

「確か。それは」
「うむ、その通りじゃ」
 彼の言葉にぬらりひょんが答えた。
「まだあちこちで戦が行われているぞ」
「それでどうして都はここまで急に」
「そのきんきん声が頑張っておるらしい」
「そいつがか」
「うむ、そうらしいな」
 ぬらりひょんはこう仲間達に対して述べた。
「どうやらな」
「ふむ。きんきん声のう」
「どういった奴か」
 彼等も話を聞いていて次第に彼に対して興味を持ちだした。
「見てみたくなったな」
「そうじゃな。それではだ」
「うむ。我等の見るのはな」 
 ここで彼等の心に悪戯心を宿らせる。これはほぼ妖怪の習性のようなものだった。
「見方はわかっておるな」
「驚かすか」
「その通り。では早速そのきんきん声のところに行ってやるか」
 すぐにこうすることに決まったのだった。ここまでの話の流れは実に早かった。こうして彼等はそのきんきん声を驚かすことにしたのだった。
 だがここで。一つの問題があった。
「それはそうとしてじゃ」
「どうしたのじゃ?」
 輪入道が子泣き爺の声に顔を向けた。
「そのきんきん声は何処におるのじゃ」
 問題はそれだった。彼等はきんきん声が何処にいるのか知らないのだった。
「都なのか?」
「そうではないのか?」
 彼等はただ何となくこう思うのだった。
「都をここまで立派にさせたのだからな」
「そうじゃないのか?藤原だの足利だのも都におったしの」
「あの平とかいうのもな」
「うむ。それならじゃ」
 彼等は自分達の記憶を辿って話をする。話をしていってそれが自然だと思っていたのである。ところがだ。都で遊んでいるうちにそうではないらしいということがわかった。
「そのきんきん声じゃがな」
「うむ」
 彼等は夜鴨川のほとりで車座を囲んで飲んでいた。辺りに人はおらず都で買った酒や御馳走で宴を開いていた。鬼火を灯りに出してそれを頼りに明るく楽しんでいる。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ