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詩集「棘」
守るべきもののない今を

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この先 君のいない日々過ごすなら
死んでしまいたい…そう風に呟いた
風は言葉を払い除け
その身を自由にそよがせる

一人で生きるこの闇は太陽でも拭えない
影は沼地の泥のように足へと絡みつく…

守るべきもののない今を
どうやって生きてゆけばいい?
心は割れた硝子のように
粉々になって落ちてゆく
空の蒼 どこまでも透き通る
僕はそこへ 溶けて逝きたいと願う


僕はどこまでもただの道具?
「者」でなく「物」だとしたら…
愛されるはずもなく…


言葉を紡ぐ この虚しい時のただ中で
君に愛されたい…なんて想ってしまう
時は想いをつのらせて
僕を檻へと閉じ込める

君に会えないこの現在(イマ)は月さえも癒せない
光は淡く大地を映し ひとときの幻を見せる

守るべきもののない今を
どうして生きろと言えるだろう?
想いは歪んだ鏡のように
ひずみの中で狂ってく…
空の紅 どこまでも 染め上げ
僕はそこへ去って尽きたいと願う

君だけがいないこの今を
どうやって生きてゆけばいい…?
心はいつも君だけを追って
抱きしめたくて 堕ちてゆく…
空の藍はどこまでも色濃く
僕はその下 君と二人で歩きたいと…願う…




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