1部分:第一章
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つつこう言うのであった。
「けれどあんたはね。やっぱり狩はね」
「どうしても上手くならんな」
「せめて魚を釣ってみたらどうだい?」
それで今度はこう提案してきた。
「魚を釣るのはそこそこいけるんだろう?」
「そっちの方はな」
まんざらでもないといった感じでの返事であった。
「そんなにな。狩程はな」
「じゃあ明日はそうしなよ」
その言葉を受けてこう言ってきた。
「是非。どうだい?」
「そうだな。そうしてみるか」
彼も妻の言葉に対して頷いた。
「釣りをしてみるか」
「それなら少しはましかもね」
それをまた夫に告げるのだった。
「だからね」
「わかった。じゃあ早速」
思い立ったが何とかというやつだった。シャクシャはすぐに立ち上がった。そうしてナマウシに対して言うのだった。
「網と釣り糸を持って来る」
「竿は?」
「勿論竿もだよ」
にこりと笑って述べる。それも忘れていないのだった。
「忘れたらどうにもならないだろ?」
「確かにね」
「わかったら外から持って来るな」
「ええ」
「今日はそれを用意したら寝るか」
こう言って一旦家の外に出て網等を用意した。一式全て手に取ると家の中に戻る。しかしここで家の玄関のところに小さな木像を見つけたのだった。それはカムイ、つまり神の木像であった。
見れば木像は倒れていた。彼はそれを見て自然と信仰を思い出しそれを立たせた。そのうえで家の中に戻って一旦網等を置いた後で残っていた兎の肉を捧げた。粗末ではあるが捧げものをしたのだった。
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