第五章
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「途中で」
「人間が落としていったか」
「そう、そうしたものを拾ってね」
そして、というのです。
「使う?」
「あればいいけれどな」
その敷きものがです。
「ビニールか何かな」
「ビニールね」
「人間はよくビニール落としていくからな」
「何時でも落ちてるでしょ」
「ああ、本当にな」
森の中にです、それこそいつも落ちています。普段は二匹にとっても他の動物達にとっても邪魔なものでしかありませんが。
それでもです、今はこう言うのでした。
「見つかればいいな」
「使えるからね」
「普段は邪魔なのにな」
「今だけはね」
「違うな」
「だから見付けましょう」
こうお話してでした、そのうえで。
二匹はビニールを探しました、しかし。
ビニールが見付かりません、奥さんはビニールを探しても見付からないことについてご主人に大してこうしたことを言いました。
「ちょっとね」
「見付からないな」
「いつもは見付かるのに」
「今日はな」
「どうするの?探す?」
「そうだな」
ここでこう言ったご主人でした。
「まだ探すか」
「そうするのね」
「結局それしかないだろ」
「濡れない為には」
「ビニールだったらな」
それこそ、というのです。
「普通にある筈だがな」
「普段はね」
「それが今日ばかりはな」
「どうしようかしら」
「探そう、一緒に」
そうするしかないとお話してでした、二匹はまだ探すのでした。そのうえで一緒に探してそうしてなのでした。
奥さんがビニールを出します、そして言うことは。
「やっと見付けたわ」
「ああ、あったんだな」
「ここにあったわ」
小さな木の端にです、二匹が座れる位のビニールがあったのです。
そのビニールを見てです、また言うのでした。
「何処にあると思ったら」
「こんなところにあったのか」
「普段は本当にすぐに見付かるのに」
「今日ばかりはどうしてなんだ?」
首を傾げさせて言うご主人でした。
「中々見付からなかったな」
「こうしたこともあるのね」
「今日に限ってな、それじゃあな」
「このビニールの水滴を拭いてね」
「行くか」
「ええ、そうしましょう」
こうお話してでした、そのうえで。
二匹でビニールを収めてです、ご主人はあらためて言いました。
「それじゃあね」
「行くか、あらためて」
「そうしましょう」
奥さんがご主人に言うのでした。
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