第一章
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カルアシ=チミーのお話
カルアシ=チミーはハイイロリスです。奥さんと一緒に巣で暮らしています。
そのチミーがです、ある日奥さんに巣の中でこんなことを言いました。
「たまには何処かに行かないか?」
「旅行に?」
「旅行みたいに大袈裟なものじゃなくてもだよ」
「お外に出てなのね」
「ピクニックでもしないか?」
こう奥さんに提案するのでした。
「少し遠くまでいってな」
「ピクニックね」
「そうだよ、そこに行かないか?」
「そうね、言われてみればね」
奥さんもご主人の言葉に考える顔になって応えました。
「私達最近食べものばかり集めて」
「他に何もしていないな」
「この森は食べるものには困らないけれど」
「それでもな」
「万が一ってことがあるのよね」
「食べるものは急になくなったりするからな」
チミーさんも奥さんもこのことをいつも気にしているのです、それで二匹にしてみれば随分広い巣の中にいつも大量の木の実を溜め込んでいます。
最近溜め込むことにばかり夢中になってだったのです。
「そればかりになっていたな」
「そうだったわね」
「だからたまにはな」
「そのことを忘れて」
「ああ、外に遊びに行こう」
「ピクニックにでも」
「というかピクニックに行かないか?」
チミーさんは奥さんと話しているうちにそちらに自然に傾いてきています。
「ここはな」
「ピクニックにするのね」
「どうだ?いいだろ」
「食べものとジュースを持って行って」
「そして外に出よう」
「具体的には何処に行くの?」
奥さんはご主人に場所のことも尋ねました。
「それで」
「行く場所か」
「そう、ピクニックに行くのはいいけれど」
「確かに場所も大事だな」
「そこは何処にするの?」
「ちょっとな」
そう言われるとでした、ご主人は前足を組んで考えるお顔になりました。
「考えていなかったな」
「そうだったの」
「外に出ることも今はじめて思いついたしな」
場所までは考えていなかったのです。
「だからな」
「そこまではだったのね」
「ああ、考えていなかったよ」
「あら、じゃあそのことも考えないとね」
「何時行くかもな」
そのこともだというのです。
「まだ考えていないよ」
「本当にまだ何も考えていないのね」
「そうなんだよ、実はな」
こう奥さんに返します。
「決まったのはピクニックに行くことだけだな」
「他は何も、ね」
「決まってないな、そうだな」
チミーさんは奥さんとお話しながらこう言いました。
「日は三日後な」
「早速ね」
「どうせ食べものは一杯あるんだ」
「一日位集めることを休んでも大丈夫だし」
「それに何時休んでもいいしな」
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