暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories
ALO編 Running through to take her back in Alfheim
Chapter-15 紡ぐ未来のその先へ
Story15-10 終わりへの道標
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
聖音side

病院の正面エントランスへと激痛のはしる体を引きづりながら歩いて行く。

出血の激しい箇所を右手でおさえながら最も会いたい人の待つ場所に急いだ。

「うぐ…………っああ…………っ…………」

あぶね……桜華にこんなの見せたらひっくり返るからな…………! 白い服着てこなくてよかった…………

俺がスイングドアを開けると同時に、横の自動ドアが開く。きっとキリトが呼んだのだろう。

「はは…………俺もついてねーな」


俺は誰もいないのを確認すると、カウンター内のパスカードを掴み取ってエレベーターへと向かう。

エレベーターは12階に停止しており、中々来なかった。その時間さえも永遠に感じられ、俺の体は悲鳴をあげる。

数秒後に着いたエレベーターも、病院なので加速は緩やかなので余計につらい。

頼む……もってくれ…………俺の体…………!



エレベーターが18階に停止し、ドアが開くと、はやる気持ちをおさえられず、エレベーターを飛び出して桜華の部屋への数十メートルを歩き出す。


長い時間……それこそ永遠にも感じられる時間と距離……俺の体があとどれくらい持つのかも分からないのでとにかく必死に進むと、正面に白いドアが見えた。


夕焼けに包まれた仮想世界の終焉、現実に帰還してからの現実、別の仮想世界の夕焼け…………俺はずっと桜華を探していた。

ようやく……その時が来る。俺の長い旅路にここで終止符を打とう。


でも……ここで倒れるわけにはいかない。もう少しで手が届くところに……桜華がいる。


ポケットからパスカードを取り出してスライドさせようとするが、汗で滑り落ちる。

あわてて拾い、再びパスカードを持ってメタルプレートのスリットに差し込み、一気に滑らせる。

インジケータの色が変わり、モーター音と共にドアが開いた。ふわりと花の香りが流れ出した。


室内の照明は落ちている。窓から差し込む雪明かりがほのかに白く光っている。中央は大きなカーテンで仕切られており、その向こうにジェルベッドがある。

俺はさらに足を進めて、カーテンを開ける。はやる気持ちはもうおさえられない。

「…………」

純白のドレスにも似通った診察衣を纏った少女が上体を起こしてこちらを見ている。両手の中に……ナーヴギアがあった。

「桜華…………」

俺は音にならない声で呼び掛けた。少女はこちらに振り向き、夢から覚めたばかりの瞳でこちらを見ている。

「聖音くん……」

初めて聴くその声は……何物にも変えられないほど美しく響いた。

桜華の手が俺に向けて差し伸べられた。それだけで力を使うのか、わずかに震えていた。俺はそっと……その手を取った。


[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ