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ロード・オブ・白御前
もう一つの運命編
第2話 置き去りのココロ
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 必勝の一撃を決めた黒鹿毛が着地すると同時、亀のオーバーロードは爆散した。

「そ、んな。オーバーロードを、ただのアーマードライダーが倒すなんて……! ありえないッ!」

 初瀬が変身を解いて立ち上がった。その背中の何と頼もしいことか。

「知らねえよ。俺はなあ、トモの前でだけは、諦めるとこなんて見せられねえんだ。それだけだ」
「――ふたりでなら何でも、ね。あながち根性論じゃないってことか。なら」

 光実が戦極ドライバーを装着し、ブドウの錠前を開錠しようと――

「ミッチ! もうやめて!」
「!? 舞さん!?」

 舞が光実の、ロックシードを持つほうの腕にしがみついた。
 光実は振り解こうとしているが、相手が舞では本気を出せないのか、舞を突き離せないでいる。


 そうしていると、商店街に駆け込む足音が3人分、響いた。

 巴のすぐ近くにしゃがんだのは、チームバロンの元リーダーの戒斗だ。
 戒斗はペコの肩に腕を回し、ペコの上半身を起こした。

「大丈夫です。脈も呼吸もしっかりしてます」

 初瀬の隣に並んだのは、葛葉紘汰と角居裕也だ。

「ミッチ! いい加減、目を覚ませ!」

 見れば、舞はぐったりとして、光実に横抱きにされている。
 おそらくだが巴の意識が逸れていた時に、彼は暴れる舞に焦れ、鳩尾かうなじに衝撃を与えて気絶させたのだろう。

「ミッチ、お前……っ」

 裕也が怒気を滲ませて一歩前に出た。

「責めるんですか? あんたが、僕を? 先にユグドラシルに僕と碧沙を置いてったのはあんたのくせに」

 裕也は目に見えて傷ついた顔で、拳を握って俯いた。

「行きましょう、舞さん。こんな奴ら、相手にする価値もない」

 気絶した舞に光実は優しく語りかけ、踵を返した。

「あ。追いかけようなんて思わないでくださいね。でないと、今タワーにいる人たちがどうなっても知りませんから」
「ミッチ!!」

 光実は律の外れた哄笑を上げてアーケードを去って行った。
 誰も彼を追うことはできなかった。
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