こうして鷹巣隆也の間違った青春が幕を開ける
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方なく作っていたが今はその必要は無い。なら友達になる理由も無かろう。
断ろうと思い口を開きかけるが先に比企谷が声を出した。
「今の小町的にポイント高い!」
いつの間にかポイントを稼がれていた。
「いや、別に友達とか要らないから」
やっとの思いで出た言葉に比企谷はまた愉快そうに笑った。
「行こっか」
そう言うと、彼女は俺の一歩前に出た。俺は彼女の二歩くらい後ろを付いていく。
比企谷も教室に用が有ったらしく、教室に着くと自分の机から何かしら荷物を取り出し始めた。
俺の席は教室の奥側にある。対する比企谷は入り口に近い。元々荷物をある程度纏めていたにも関わらず比企谷の方が先に教室を後にした。だからといって何も問題は無い。俺は荷物を手に取り教室を後にする。しかし、何故か教室を出たすぐの所で比企谷が待ち伏せていた。
「何?」と視線だけで問うと、比企谷は無言のまま歩き出した。それはこの俺について来いと言っているような気がした。
別に一緒に行く義理は無いが何となく後ろをついていく。玄関まで行き、靴を履き替えた所で比企谷が口を開いた。
「隆也君はほんとお兄ちゃんに似てるね」
「いや、お兄ちゃんとか言われてもわからないから」
比企谷の兄、確か平塚先生も同じような事を言っていたと思う。比企谷小町の兄は一体どの様な人物なのだろう。大体似ているなんて何を根拠に言ってるんだ。俺の事なんて赤の他人がどれ程理解しているだろうか。俺の事を理解しているのは俺だけだ、他の誰に理解されてたまるか。
「多分だけど似てねぇんじゃねぇかな」
「そっか」
俺の言葉に比企谷は楽しそうに頷いた。比企谷も自転車通らしく一緒に自転車を取りに行き何だかんだで一緒に校門を出た。
二人とも無言で自転車を漕いで行く。少しすると、一つのT字路の分かれ道についた。
「んじゃ、俺こっちだから」
「ん、じゃね」
二人とも素っ気ない挨拶だけして道を別れた。
今日は散々だった。ぼっちになるわ変な部活に入部させられていきなりバトルロワイヤルとか何とか、一体俺の未来はどうなることやら。
俺はチラリと後ろを振り返った。もうすでに、比企谷は見えなくなっておりそこには誰の姿も無かった。
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