こうして鷹巣隆也の間違った青春が幕を開ける
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ると下校を告げる合成音の様なチャイムが鳴った。
「それじゃあ今日は解散って事で!」
比企谷がこれで終わりと言うかの様に手を叩いた。それが合図だったのか舞浜は文庫本を片付けると「さようなら」とだけ挨拶して教室を後にした。俺も帰ろうかと立ち上る。今更だが荷物の類いは全部教室に置いていったままなのだ。面倒だが取りに行かないと帰ることすらできない。俺はひとまず部室を後にした。
◆◆◆
教室へと向かう廊下で俺はふと窓から外を眺めてみた。空は茜色に輝き夕日がなかなかに綺麗だ。
外の景色を見るのもほどほどにして俺は目的地を目指すことにした。皆既に下校したのか殆ど生徒を見かけない。それはそれで気楽に動けるから嬉しいのだが附だ湯人がいるところに人が居ないというのは少し寒々しいものがある。最も目的無しに学校に残られたら鬱陶しいだけなのでやっぱり人は当たりの居ない方がいいかもしれない。そこで一つ、問題が有った。
「何で付いて来てんの?」
俺は立ち止まり後ろを振り返った。すると俺の後ろにいた彼女も足を止めて後ろを振り返った。
「いや、貴女だからね?」
俺が言うと比企谷は「イシシ」と笑った。
「それはモチロン、君と話がしたいからですよ、隆也君」
そう言って比企谷は満面の笑みを浮かべる。俺はその顔にあまりいい気分はしなかった。
「それはなんだ、今日の事件の事でも気になってるの?」
意識せず声音が攻撃的になってしまった。比企谷も俺と同じクラスならほぼ間違いなく。今日の俺のぼっち化事件を知っていて、俺の事は問題児だと理解しているはずだ。そんな俺にちょっかいを出してくるのはおちょくりたい奴くらいだろう。流石にそんな奴を相手にすると思うと声も鋭くなってしまう。部室では特に触れて来なかったから問題は無かったがわざわざ地雷を踏みに来たんなら何か一言くらい言ってやろうか。
なんて言おうか考えていると、比企谷は何とも言えない表情で後ろ髪を掻いていた。
「なんていうかさぁ、あんまり気にしない方が良いよ?」
「はぁ?」
比企谷の意外な言葉に思わず聞き返してしまった。しかし、比企谷は特に意に介した様子もなく笑顔を見せた。
「あの程度でヘコタレてたらきっと身が幾つ有っても足りないよ?」
比企谷の優しい?言葉に俺はすこしだけ警戒心を解いた。こいつはそこまで悪いやつじゃないのか? 俺がそう思った矢先意外な一言が飛んで来た。
「小町が友達になってあげよっか?」
彼女の優しい口調に俺は言葉を詰まらせた。
友達か……、別に今更友達が欲しいなんて言うつもりは無いし思ってもいない。所詮上部だけの付き合いなのだから居ても居なくても変わりはしない。今までは平穏を保つべく仕
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