最近の若者は・・・
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今の会社に入社してもうすぐ30年、今年で54歳になる私はいつものように電車を待っていた。
いつもと同じ時間、同じ電車。長いこと電車通勤をしていると、自分と同じ電車に乗る乗客の顔は意識せずとも分かるようになった。しかし、近所のスーパーやコンビニで遭遇する事もあっても会話するわけではなく、ただ通り過ぎるのみ。『いつも乗る電車が同じ』という関係は『部署が違う会社の若手』より遠い。
「 ・・・ 」
私は一人で通勤している。中には同僚と待ち合わせしている人間も居るらしいが、私は違う。
私は『 神に選ばれた人間 』なのだから
定刻通りに電車が到着し、定刻通りに会社に着き、定刻通りに帰宅する。これが私の払う代償であり、義務でもある。神から授かった能力は決して人前では行使しないが、自分と同じ(・・・・・)人間が現れた場合はその限りではない。同意の上で人目の無い場所に移動するか、人ごみに紛れて襲うか。
これまで幾度と無く襲撃を受け、その尽くを排除してきた私にとって、人間としての生活は退屈な物でしかなかった。
私がいつも乗る電車が駅に近づきつつあったとき、ホームでざわめきが起こった。
「 ・・・・? 」
そこらの野次馬のように騒ぎ立てることはしないが、何が起きたか少しは気になっている。目を閉じ、耳を澄ます。
「 ---ってこ---ね? 」
「 ---なさい---ごめ-- 」
「 ・・・・ 」
女性が男性に謝罪をしている事は分かった。退屈な日常に舞い降りた非日常。私はその男女が乗った車両のひとつ後ろの車両に乗り込み、そこから彼らと同じ車両に移動した。
数分間の沈黙の後、男性が発した言葉に私は歓喜する。
「 あなたは誰の使徒なんですか? 」
『使徒』という言葉、それはこれまで何度も聴いてきた。自分と同じ、常識の外側からやってくる存在を認識した私の鼓動が、さっきよりも力強く脈打つ。
・・・ああそうか、しょうがない
使徒と分かってみすみす見逃すほど、私は寛大では無いんでね。ここで2人ともこのゲームから退場してもらおうか
そのときの私は、きっと歪んだ笑みを浮かべていただろう。
2人の背後にそっと近づき、両手に短剣を顕現させる。
「 私の名は『ガガザ』、自分の不運を呪ってくれ 」
そして2人の首筋に短剣を差し込む。確かな手応えと共に、女性の叫び声が私の心を心地よく撫でる。
・・・しかし、歓喜の瞬間に浸ったのも一瞬。視界がぼやけ、再び視界が鮮明になったとき、私は頭を鷲掴みにされていた。
「 く・・・あ・・・ 」
声が出ない。そして気付く。首より下が切り離されている事に。
「 ・・・
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