鎧武外伝 バロン編
束ねる強さ A
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『インベスに、なった?』
ロックシードの暴走。今しがたの光景から想像できる原因はそれしかなかった。
インベスとなったタイラントは、鳥の羽根をそのまま刀身にしたような形の大剣で、バロンと月花に襲いかかってきた。
その剣捌きが、ただのアーマードライダーだった時より鋭いのは、どんな皮肉か。
月花がバロンと共に斬りつけても怯まぬタイラントインベスは、逆に羽根の大剣で月花たちを容赦なく斬り裂いた。
『インベスになっただけでもオドロキなのに、めちゃ強じゃん、こいつ……!』
「駆紋戒斗!!」
この声は。月花は驚いて崖上を見上げた。
湊耀子が、パッションピンクのコートを翻し、立っていた。
崖上から咲と戒斗の戦いを見守っていたヘキサたちの後ろから、意外な人物が現れた。
「コドモがこんなとこで何やってるの」
「あなたは……?」
このような場所なのにハイヒールとミニスカスーツ姿の女は、コートのポケットから一つのロックシードを取り出した。
「っ、それ、朱月さんの……!」
リンゴロックシード。自分と光実を襲撃した朱月藤果が変身に使っていたロックシードだった。
「どうしてあなたが」
「――彼女にはもう使えないから回収させてもらったのよ」
もう使えない。生来の勘の良さから、ヘキサは悟ってしまった。朱月藤果がこの世にはもういないことを。
半ば覚悟していたこととはいえ、はっきり突きつけられると、泣きたい心地がした。
「駆紋戒斗!!」
女が崖下に向けて叫んだ。
湊は何かをバロンに向けて投げた。
「プロフェッサー凌馬からの贈り物よ。さっさと倒しなさい」
バロンがキャッチしたのは、金に縁どられたリンゴのロックシード。ナンバーは「L.S.TABOO」――禁忌のロックシード。
『いいだろう。使ってやる』
バロンはためらいもなく、リンゴの錠前を開錠してバックルにセットした。
《 カモン リンゴアームズ Desire Forbidden Fruits 》
バロンの鎧が変わる。リンゴの意匠の西洋甲冑。
月花は知識より本能で悟った。
――これはエナジーロックシードやカチドキロックシードとはまた異なる、ヒトの手が造り出すロックシードが辿り着く、一つの極致なのだと。
バロンはリンゴの形をした盾から片手剣を抜き、タイラントインベスに斬りかかった。
(速い。バナナの時とも、ううん、どのアームズの時よりもダンゼン速いよ! 盾も向こうのインベスの剣、受け止められるくらい強いし。イケる!?)
思わず月花が見入っていると、バロンが急に片膝を突いた。
リンゴの錠前から、ヘルヘイム
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