■5■ 闘いの行方
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と、そこには久美子がいた。
「布沢さん!? どうしてここに?」
嵐のような暴風に巻き込まれまいとビルの陰に避難していたのだった。
久美子にしてもいきなり変身していたはずの健太が、人の姿で逃げてきたのは、ただただ驚きだった。
「いや、こんな強風じゃ何にもできないから隠れてただけなんですけど……」
しかし、避難してからは戦いの様子は確認していなかったので状況のわからない。
ただ、健太がここに逃げてきたということは怪人に攻め込まれているということだ。
「ところで、広野君は戦わないの?」
とりあえず、現状を確認しようと思ったのだ。
しかし健太は自分で話を振ったくせに久美子の話をまったく聞いていなかった。
久美子のことよりも今はウインドプラスを気にしなければならない。
ビル影から顔を少し出して敵の様子をのぞき見た。
美紅と桃子はまだ倒れたまだだった。
スカートを必死に押さえていて、思うように動けなかったのだ。
アオイはなんとか立ち上がってはいたが、踏ん張るだけで精一杯だ。
「ちょ、ちょっと広野君、なんで無視すんのよ!」
久美子はツッコミを入れた。
しかし、健太は久美子の方は見ない。
「今は布沢さんのことよりあの怪人をどうにかしないと……」
それはもっともな話だった。
久美子も納得して黙った。
「女だけ残して野郎はいなくなってくれるなんて、オレのことをわかってるなあ」
ウインドプラスは満足そうに高らかに笑った。
「くっそー」
強風に耐えながらアオイは悔しがった。
しかし、打つ手がまったく浮かばない。
美紅も桃子もスカートを押さえるのに必死で攻撃なんてできるはずもなかった。
「なんだ、お前たちは何もできないのか?」
ウインドプラスはアオイたち3人を見てニヤリと不敵な笑みを見せた。
まるで大好物の食事を目の前に、何から食べようか考えている子供のような顔だ。
「ケン坊、なんとかしてよぉ〜っ!」
アオイからのSOSは健太の元にも聞こえてはいた。
しかし、健太にも考えがあった。
まだどうやれば倒せるのかはわからないが、距離を置くことで何か弱点を見つけられるのではないかと考えたのだった。
「せっかく女が3人もいるのに、このままだとつまらんな」
ウインドプラスがそう言うと指をパチンと鳴らした。
すると今まで吹き荒れていた強風が嘘のように止んだ。
「お楽しみの時間はこれからだぜ!」
その言葉を聞くとアオイは冷や汗をかいた。
ウインドプラスがやらしいということはわかっていた。
それに実力差もわかっている。
アオイがどう立ち向かったところであの強風を使われては歯が立たないだろう。
そんな怪人が楽しむとか言って向かってくるのだ。
アオイは固まって動けなかった。
完全にやられる覚悟をした。
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