第十四話
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
(アリサたちの事は後で考えよう)
説得が難しいことを後回しにし、葵は忍に質問をした。
「ところで、あの不良たちはどうなりました?」
アリサたちの前では聞けなかった質問である。葵には、あの爆心地にいた彼らが無事だとは欠片も思えなかった。死んでいるかも知れないと思いながら尋ねる。
彼の言葉に、忍は顔をしかめた。
「本当は、すずかたちに武器を向けた人間には報いを与えるところだけど・・・あれを見たら同情しちゃうわ。一応生きてはいる。ただ、生きてるだけだけどね。今日を乗り切れるかも怪しいわね。知り合いの医者に見せているのだけど、運に任せるしかないそうよ。仮に生きていられたとしても、一生ベッドから出られないでしょう。・・・地獄でしょうね。」
彼らは特に不運であった。事前に葵にボコボコにされていた上にあの溶岩の爆発を喰らったのだ。今命があるだけでも奇跡と言えた。
忍の言葉を聞いた葵は腕を組んで少し唸った。数秒後、考えがまとまったようで、二人に問いかける。
「忍さん、ジンさん。まだ、彼らに復讐したいと思いますか?」
葵は、既に彼らの命などどうでもいいと考えていた。生きようが死のうが関係ないと。だからこそ、試してみたいことがあった。
しかし、身内を狙われた彼らは、死なせたいと思っているかもしれないと思い、一応質問したのだ。
「いや、私も彼らの怪我を見た。鳥肌が立ったよ。アリサを危険な目に合わせたのは腹立たしいが、幸いにも君のおかげで怪我一つない。死ぬほどの罪ではないと考える。」
「私はどっちでもいいわね。」
ジンと忍の意見を聞き、葵は頷いた。
「なら、試してみたいことがあります。連れて行ってくれますか?」
彼らは、葵が何をするのか気にしながら、忍の知り合いの病院まで連れて行った。
「これは・・・!」
「とんでもないな魔法とは・・・!」
忍とジンが驚きを隠せず呟いた。医者には部屋を出てもらっており、ここにいるのは、葵と忍、そしてジン。更に、意識不明の重症だった15人の不良のみ。
そう、重症だった。
葵は、新しく手に入れた『パッチエネルギーの操作』によって、不良たちの体にエネルギーを流しつづけていた。焼けただれ、指などの体の一部が吹き飛んでいる者もいたが、まるでビデオを逆再生しているかのように治っていく。
だが、流石に破裂した眼球や、四肢が吹き飛んでいる者は治らなかった。千切れた腕などがあればくっつけることが可能だったかもしれないが、全て炭となっており、現場に置き去りにされていたのだ。燃え尽きた人体の一部が見つかったとなれば、今頃、警察が泡を食って捜査しているだろう。
もっとも、葵は同情しない。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ